デザイナーズ
前振りを入れないと物語として何か違和感がある文章を書くことが多いので、そういういきなり本編に入れるような文章の書き方を知っている方はご教授ください…………。
人が「死ぬ」とはどういったことなのだろう。
もちろん人が息を引き取ったときに死んだ、永眠したという判断をする人もいる。
ただし、その人が“完全に死んだ”とは言い切れるのか。
今を生きている人のうち、一人でもその人を覚えているのならば、
その人間は生きているのではないか。
つまり、存在を忘れ去られた存在こそ、
『死んだ』ということなのではないだろうか。
「つまり、忘れられないようなキャラデザインを心がければいいって事っすね!」
「そういうことだ」
「いつも先輩は遠回しに伝えてきますね~」「もっとストレートに伝えればいいのに」
「自分で理解することが大事なんだ、そのまま言ってもお前は鵜呑みにする」
「そうですねぇ…………。」
「分かればいいんだ」
そういって私は作業に取り掛かる。
私はゲームのキャラデザインを手掛けている新人デザイナーだ。いつも気だるげそうにしているが、実力は折り紙付きの先輩と二人三脚で忙しい日々を過ごしている。
「この前直せといったキャラデザはどうなった」
「はい!直してきました!」
「見せてみろ」
そういって先輩は私を手招いた。私は新しいデザインが書かれた紙と、この前先輩に直された赤ペンだらけの紙をもって先輩のもとに行った。
「この前よりはいいな、“この前より”はな」
「えっ、つまり…………」
ここから再び修正の嵐が來る予感を感じ取ったものの、私はそれを受ける覚悟をするしかなかった。