忘却の戦士
『魔剣とは…………』
今日も講義が始まる。今日は武器学の歴史のようだ。毎日のように受けている講義にもいまだにこの体は慣れないようで、だんだんと瞼が閉じていってしまう。
意識が遠のいていきかけた瞬間、突然何者かにたたき起こされた。
「戦闘面しか良くないんだからちゃんと聞いてないとだめだと思うよ……」
「座学苦手なんだから仕方ないだろ」
「仕方なくないよぅ…………」
なんて会話をし始めているうちに、講義が終わりかけている。この学校は実力主義の学校であるために座学は少なく、実戦形式の講義が多い。
「ほら、置いてくぞ」
「あっ……待ってよ~」
頭の痛い話を受け流しつつ、他愛のない会話をしているうちに外に出る。こうやって毎日毎日実践をする前に心に思う。そこは静かな森のように見えるがこれは静かな森なんかじゃない。
ここは【戦場】だと。
俺はなぜかこの実践のあとの記憶をはっきりと“覚えていない”
微かに覚えていることといえば、毎回の実践の時に俺は圧倒的な“何か”の力を使ってこの戦場を蹂躙している自分のイメージだけだ。
「・・・どうだった、今日の俺の働きは」
「今日はね…………」
とさっきまで話していた“やつ”に今日の戦果を聞く。俺は実践での記憶がうろ覚えだから他者に戦果を聞くことでしか、成果を実感できない。日々聞くことによって自分の戦闘の癖を把握して次に生かすこと、それと同時にこの“記憶喪失”の謎を解明するための糸口を探ろうとしている。
しかし、そんな毎日を過ごしている“俺”は何者なのかという目的さえ“忘れそう”になる。自分はどうしてここで学んでいるのか、どうして忘れるのか、どうして、どうして…………。




