~中身はつるつるなんです
中身だけをみて、年を取ってもどんな顔になっても永遠の愛を誓って欲しい
しかし、不運にも私は絶世の美女として生まれ落ちてしまった。
私は不美人な日本人として生を受けた。
頭も悪くはなく料理や裁縫などもそつなくこなせた。
しかし誰も私を選ばなかった。
どんなに善良であろうとしても、どんなに中身を磨こうともなんの役にも立たなかった。
ボランティアに勤しみ、保護犬や猫を引き取り可愛がり、たくさんの本を読み教養をつけたが
「上野さんボランティア凄いやってるみたいだよ」
「まー暇そうだもんね~」
「上野さん結婚できないからか、猫と犬ばっかり飼ってるみたいだよ」
「だからたまに獣臭いのか~あぁなったら終わりだよな~」
「上野さん本ばっかり読んでるよね」
「暗いって言うか近付きづらいよね」
全てが私を傷つけた。
何より悲しかったのは同じことをしている人でも美人だと全く評価が違かったことだ。
高校の頃私と同じくボランティア活動にいそしんでいた可愛い赤井さんは可愛い上になんて良い子なのだと持て囃された。
大学生になりペット自慢をしていた美人の清野さんは性格まで良いと言われマドンナ的存在だった。
同じ会社で、教養があり本をよく読む姿を見かけていた清楚でかわいらしい秋山さんは我先にと会社の男性が取り合っていた。
恋人は出来たことがあったが必ず見た目の良い女の子へと乗り換えられた。
もし私の本質だけを見て愛してくれるなら同じだけ私も愛するのに。浮気なんてしないで一途に尽くすのに。面白い会話だってできる自信があるのに。
なんで私は選ばれないのだろう。そんな風に鬱々と考えていた会社帰り前から自転車に乗った男が突っ込んできた。
その男の手からスマホが飛ぶのが見えて、頭が熱くて、意識が遠のくなか私は願った。
次の人生も私のままでいいから、中身をみて本当の愛をくれる人と巡り会えますように、と。