第80話 願い
「――――気が付いた?」
気付けば真っ白でだだっ広い空間の中に居た。
それは以前にも覚えのあった場所、何度か訪れた事のある所であった。
「それよりも先に一言言わせて欲しい」
目の前で黒々としたナニカ――神様が喋り始めた。
その声のトーンは神様らしくもない、苛立ちと呆れの半々の感情の籠もったものであった。
「神である私が引くぐらいフォロワーが高くなったからって貴方達好き放題し過ぎでしょ!? 学校の皆にバレッバレの状況を作るどころか、公然とフォロワーの力発揮しまくって、最終的には空を飛ぶ!? どれだけ無茶をしているのさ! こっちは破壊に応じて修復したり、巻き込まれる人を守ったり凄い忙しかった! なんかもう久々に力をこんなに使えたよ! 全盛期の時、いやそれ以上だよ、こんなに力を使うのは!!!」
「すいません……」
そんな怒りのクレームに素直に謝罪を申し入れる。と言うよりさすがに平謝りする他ない。
いや、やっぱり無茶をしすぎたっていうのは勿論だったし……。
「……でも、力を取り戻すって私の当初の目的は完璧に過ぎるくらいに達する事が出来た。それについてはお礼を言う」
そんな風に神様は頭を下げた。いつになっても『頭を下げた』という事が分かってしまうこの黒々としたナニカは不思議だ。
「今の私なら大抵の願いなら叶える事が出来ると思う、それが出来るのも貴方達の頑張りのお陰。それで――――」
少しの間を置きつつ、神様は訊いてきた。
「貴方は……麗佳詩羽は神である私に一体何を願うの?」
厳かに神様は私、麗佳詩羽にバトルロイヤルの優勝商品となる『願い』を尋ねた。
とは言え、そんな事は――願いはもう決まっている。
私はもう願いを叶えて貰った。
だったら次に願いを叶えるのは――――あの人であるのは当然だろう。
そして、私は一言一句を間違えないように、願いを口にした。
「――――私の一番大事な人になった円城瓦太一君と、その妹の円城瓦乃雪ちゃんを…………どうか救って下さい」




