第33話 囃し立て
四時限目の授業が終わった合図として校内にチャイムが響き渡る。
本来であれば事前に用意していた飯を食べ、その後はひたすら眠る事で昼食時間中の暇を潰している。
だが、その日は少々、勝手が違っていた。
「え、円城瓦さん、ちょっと宜しいですか?」
俺の席の前に立っていたのは誰であろう実葉心香だった。
「…………………………なんだ?」
色々言いたい事はあったが、最終的には彼女の言葉の先を促す形での返答しかできなかった。
「その、お弁当を……、一緒に食べませんか? 貴方の分も、えっと、作った、ので」
実は事前に昼食を用意して来ないように実葉に言われていたので、何となく予想はしていたのだが……、いざ言われてしまうとかなり恥ずかしくなる。
そして、
「よっ、まだお熱いねぇ、お二人さん!」
などと周囲のリア充の内の一人が囃し立てる。
なぜか俺と実葉が付き合っているという話が、今朝にはクラス中に広まっており、何かある度に注目され、果ては囃し立てられるまでに至っていた。
なんだ……一体俺に何が起こっている……?
俺はまさかラノベ主人公だった……? 意味もなく女の子に好かれた挙げ句、無意味に注目を浴びるようなそんな人生イージーモードだったのか……?
「…………とりあえず行くぞ」
俺が席を立つと、後ろから付いてくる実葉。そんな俺たちの様子に対して、クラス中が無意味に騒ぎ立てる。
「ひゅー! まだ春だってのに熱くて羨ましいなぁ!」「学校一の陰キャとクラス一の地味女とかくっそお似合いじゃん!」「そんなカップル羨ましくねぇ(笑)」「いやいや、俺たちよりずっとリア充だぜ、あいつら!」などと酒の肴とばかりに口々と笑い合う。そんな下卑た笑いを背に受けつつ、俺と実葉は教室から出ていった。
「ひとまず校舎裏にでも行くか。あっちならひとまずは人の目は逃れられる」
「……心得ました」
そう口にする実葉はクラスからの注目を逃れた事で普通に喋れるようになっていたが、頬には熱がまだ残っていた。
……よくやるよな、こいつも。
そう思いながら、俺達は目的の場所へと移動を続けるのだった。




