新たな仲間
次の日。旅立つため、ツミナは国の出入り門まで向かった。
すると、呼び止められる。
「ツミナ!」
振り返ると、そこにはランが。
その後ろには孤児院の皆やトーリもいる。
「皆さん・・・」
ツミナは驚いて呟く。
「お見送りにきました」
ドルが前へ出てツミナへ言う。
「わざわざありがとうございます」
感激する様子のツミナ。
「あの、これを。よければ今日のお昼にでも召し上がってください」
するとミリアが進み出てきて、ツミナにあるものを差し出す。
「サンドウィッチです。トーリさんの働いているお店のパンです」
「ありがとうございます、これはシスター・ミリアが・・・?」
「子供たちも手伝ってくれたんですよ」
ミリアが振り返ると、子供たちがドヤ顔を決めていた。
ツミナが子供たちにも礼を言う。
そしてあることに気づく。
「このサンドウィッチ、量が多くありませんか? まるで、2人分あるような・・・」
ぎくり、とミリアが固まる。
「それは私の分も入ってるからだよ」
するとランがツミナに答えた。
「ランさんの、分?」
「ああ。私もついていくからな」
「え、・・・えぇ!? そ、それはどういう・・・」
ツミナが驚いて戸惑っていると、ランがくすっと笑う。
「ツミナの旅についていくってこと!」
宣言するラン。
驚愕したまま固まるツミナ。
「・・・・・・えっ」
ツミナがやっと言葉を理解して疑問を口にする。
「あの、そんな話は一言だって・・・」
「言ってないからな。だって、言ったら絶対に連れて行ってくれないだろ? だから直前まで黙ってた」
確かに、事前に知っていたら絶対に連れて行かなかっただろう。旅は危険だし、何よりランはまだ若い。10代の娘がわざわざ旅にでる必要などないのだ。
「ランちゃんだけずるい! 私もついていきたかった・・・」
そこへトーリがやってくる。
「トーリは仕事があるからな。仕方ない」
「むぅぅ・・・」
ランとトーリがにらみ合う。といっても軽いものだが。
「ってことだから、諦めてくれ。ツミナ」
「そういわれても・・・」
ランがにっと笑うが、ツミナは困り顔だ。
「ツミナ様、どうか連れて言ってやってください」
「神父様まで・・・」
ドルもランの背中を押している。
「ランに、世界を見せてやってはくれませんか? 貴方様のもとが一番安全ですし、ランもツミナ様とならば喜ぶでしょう」
ドルがツミナに頭を下げる。
「どうか、お願いいたします」
「し、神父様・・・」
ツミナはドルに強く頼まれ、一度深くため息をついてから。
「わかりました・・・途中で離れ離れになることもあり得るかもしれませんし、私が彼女を守り切れないことだってある。それでも、よろしいですか?」
ランとドルの両方を見つめて尋ねる。
「それはもちろん。自分の身は自分で守れるようになるつもりだ!」
「この子も覚悟の上のこと。ツミナ様、感謝します」
うなずく2人。
「では、ランさん、よろしくお願いします」
「ああ。よろしく、ツミナ」
ランが手を差し出してくる。ツミナは、その手を握り返した。
握手を交わした2人は、皆に別れを告げ、新しい一歩を踏み出した。




