初めての講義
チャイムが鳴ったので、ツミナは授業を始める為、皆に呼びかける。
「では、授業を始めます」
にっこりとしたツミナの笑顔には中々の破壊力がある。
「今日は皆さんの実力を知って、個人個人適切な指示をしておこうと思います。と、いうことで、隣の実践室に移動してください」
そういわれて突然のことに驚きながらも、生徒たちは指示に従ってくれる。
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実践室の準備室にあった訓練用の剣を一人一本もった状態になったのを見て、ツミナは説明を開始する。
「では、皆さんの実力を知りたいと思います。えーと、一人ずつの方がいいですよね? まずは私と少しだけ手合わせしてもらいます」
少しだけざわめいた空気になった。
生徒の間でこんな会話が流れる。「《剣姫》って呼ばれる殿下がいるんだぞ?」「あの教師、大丈夫か?」「ここにいるだけでも私たち大人の剣士と互角レベルなのに」
シュイーツが《剣姫》という称号を持っていることを初めて知って驚いたが話を続ける。
「誰か、1番目にやってみたい人はいますか?」
微笑みながら問うと、やはり予想した通りある人物の方を皆が振り向いた。
シュイーツの方だ。
「私がやらせていただきます」
その視線がわかっていたように彼女が立ち上がる。
王族に先をゆずらないといけないのは全員がわかっている。そして先にやらないといけないのもシュイーツはわかっている。
「そうですか。では、いつでもかかってきてください」
ツミナは片手に剣をぶら下げたまま無防備ともとれる格好でそう言った。
ざわっと波がおとずれる。
「あの方にあんな馬鹿な真似を・・・?」
「あいつ、負ける気なのか?」
(負ける気なんてさらさらない)
心の中で余裕を持ちながら彼女の攻撃をまつ。
シュイーツは剣をツミナの方に向けて綺麗に構えている。
(やはり見込み通りかしらね。あんな無防備に見える格好でも隙が全く見つからない)
そして次の瞬間シュイーツが飛び出た。
一瞬消えたように見えたシュイーツを、生徒たちは見失う。
キン!
金属音が鳴り響く。剣と剣がぶつかった音だ。ツミナの方を振り向く。すると剣をあわせる2人の姿が。
「いい剣ですね」
にっこりと微笑むツミナ。
シュイーツもほほ笑んでいる。
「それはどうも」
一旦ツミナから離れ、もう一度切り込みに行くシュイーツ。だが、それもツミナは防ぐ。繰り返しそれを行う。全てシュイーツの剣はツミナに防がれてしまった。
「ここで終わりにしましょう」
ツミナが終了を告げる。
「・・・そうですね」
少し息を切らしているシュイーツ。
「では、貴方は端で腕立てを行っていてください」
「・・・・・・?」
ツミナから腕立てを命じられたシュイーツ。首をかしげる。それは他の生徒も同じだ。どうして腕立てなのだ、と。
「わ、わかりました」
シュイーツはとりあえず指示に従う。
「では、次の人」
と、次々に他の生徒も見ていくツミナ。
だが、それぞれ命じられたのは筋トレやストレッチ、素振りの類だった。
生徒たちはそれになんの意味があるのかわからず、首をかしげていた。
そして講義が終わる。
「では皆さん。今日やったこと、開いている時間に個人でやっておいてくださいね」
それだけ言い残して講義は終わった。




