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勇者の称号を得た者が役目を終えてからのお話  作者: AMITOA
~迷子は魔族のお姫様~
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聖職者の使命

 ツミナは少女にとって治癒魔法が聞かないこと、更に逆効果であることを告げてから、薬をもらいにいくように神父とシスターに言った。薬草ならまだ効果があるはずだ。今現在、薬屋は珍しくなっている。治癒魔法という便利な魔法があるからだ。だが、この町にはあるという。運が良かったとしか言いようがない。


「買ってきました!」


 シスターが走ってきたからか汗をかきながら診察室に入ってきた。


「ありがとうございます。熱ひきの薬を塗れば少しは落ち着くと思うんですが・・・」


 ツミナがお礼を言い、塗り薬を少女の額など、熱を持っている場所に塗る。


「これで一旦様子を見ましょう。明日、症状を見てからまた薬屋に行きましょう」

「はい」


 深呼吸をしてツミナは自分を落ち着かせる。まさか、と思っていたが、本当に()()がいるなんて。


「ツミナ様、ありがとうございました。まさか治療法を間違えているとは思わなくて・・・ところで、どうして治癒魔法が効かないのでしょうか?」

「それは「しんぷさまー!」」


 ツミナが説明しようとすると、子供たちが来てドルをかっさらっていった。

 子供たちは元気だな、と苦笑していると、ランとシスターの話し声が。


「久しぶり!」

「久しぶり、じゃありません! どれだけ心配かけさせる気なんですか!」


 シスターが怒っているが、何故か可愛く見えてしまう。ランが思わず抱き着いている。


「シスター、先ほどは薬屋まで走らせてしまい、申し訳ありません」


 ツミナが謝罪する。かなり走らせてしまったようで、戻ってきたときは息切れが激しかった。


「いえ、こちらこそ、治療法を教えていただき、本当にありがとうございます。助かりました」


 シスターはツミナに対して綺麗に礼をする。


「私はミリアと申します。ここでシスターをさせていただいております。以後お見知りおきを」

「ツミナです。突然押しかけ、挨拶もなかった無礼をお許しください。ランさんと旅の途中知り合いまして、しばらくここに泊まらせていただくことになりました。シスター・ミリア、よろしくお願いします」


 自己紹介をしあう。

 ランがツミナを追加で紹介する。


「この人がさらわれた私を助けてくれたんだ」

「まぁ。そうだったのですか。重ね重ね、お礼申し上げます」

「いえ、そんな」


 ランはツミナを紹介するたびに自分を救ってくれた人だ、と何故か得意げな顔をする。

 そんな彼女に首をかしげながら、ツミナは受け答えする。

 そして夕食も孤児院で皆が食べるものを分けてもらい、申し訳ないながらもお礼だと言われおいしくいただいた。



「熱はひきましたね。良かった。あとは擦り傷などの手当てと、食事を少しずつすすめていけばよくなるでしょう」


 ベッドに眠る少女を見てツミナがそう判断する。


「では、もう一度薬屋に言って薬を買ってきます」

「私も同行してよろしいでしょうか」

「はい、もちろん」


 という訳で、ツミナはミリアと薬屋に出向くこととなった。



 カランカラン


「いらっしゃい」


 ドアのベルが鳴った音に続けて、店主の声。


「あれ、シスターじゃないか。昨日の薬、効かなかったかい?」


 店主は気立ての良い女性だ。


「いえ、熱はひいたようですが、今回は擦り傷に塗る薬をいただきたくて・・・」

「ああ、ちょっと待ってな」


 店主は奥の棚からビンを2つとる。


「擦り傷ならこれかこれ。どっちにする?」

「どちらの方が良いのでしょうか」

「そうだねぇ。こっちの方が治りは早い。けど、擦り傷でも深い場合はこちらの方がいいと思うけどな」

「では、こちらを」


 ツミナが薬を選ぶ。


「見ない顔だね。もしかしてシスター、やっと男捕まえたのかい?」

「ちちち違います! シスターは結婚できませんし恋愛禁止です!」


 店主にからかわれるシスター。

 シスターや聖職者は基本的に恋愛禁止なのだ。


「なんだ、残念」


 笑う店主にシスターがぷりぷり怒る。


「ありがとうございました。またきます」


 シスターは薬を受け取ってツミナと共に薬屋を出る。


「店主様、いつもからかうんです。私のことを」

「気に入られているんですね」

「遊んでるだけですよ」


 拗ねるシスターにクス、と微笑むツミナ。


「シスター・ミリア。先に、言っておきます」

「はい?」

「あの少女、あなた方聖職者にとっては、許せない存在です。それでも、あの子を孤児院においてくれますか」


 真剣な目で問われたシスター。


「もちろんです。私たちは弱った者を見捨てることはしません。そして、最後まで見守る。それが私たちの使命ですから」


 真の通った目で見つめ返され、ツミナは安心したようにふ、と微笑んだ。

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