プロローグ
目が覚めると、そこは固い床に天井は布。
「う・・・」
体が痛い。
起き上がる。するとシャラ、と音が鳴ると同時に、手首と足に重みを感じる。
「なに、これ・・・」
そこにあったのは手錠と足枷。その場から動けない。
周りを見渡すと同い年くらいの子たちが、同じように手錠と足枷をされて繋がれている。
ふわりと布が舞ったとき、一瞬外が見えた。緑。見えたのは緑だった。きっと森だろう。
「ここ、は・・・馬車?」
動いて揺れているここ。馬車の荷台と考えるのが妥当だ。
「なんで、こんな、ことに・・・?」
ここに来るまでのことを、必死に思い出した。
1
「いらっしゃいませー!」
威勢のいい声。
パン屋で働く私は、この日も元気に働いていた。
「そろそろ今日はあがっていいよ。お疲れ様」
夕方になり、仕事をあがる。
「お疲れ様でしたー」
パン屋を出て家に戻る。
私に両親はいない。その為1人暮らしだ。
パン屋からもらったおすそ分けを両手で抱えて家に向かう。
コツコツコツ
子供ももう家に帰って人通りが少なくなった頃。自分のものではない足音が聞こえた。最初は気にしていなかったが、いつまでたっても聞こえてくる足音。
(なんか・・・怖い・・・!)
自然と早足になる。すると当然、後ろの足音も早くなる。
恐怖に負けて私は走り出す。息を切らせて走った。
「ふぅ!?」
そして急に口をふさがれて殴られた。
持っていたパンはその場にバサリと落ちた。
私はそのまま意識を失った。
2
(私、さらわれた、ってこと?)
サァァ、と頭から血の気が引くのを感じる。
(ど、どうしよう・・・私、どうなるの・・・?)
一人青ざめていると、隣の人に話しかけられる。
「あんた、大丈夫? 顔色悪いみたいだけど」
女の子。自分と同じ18くらいだろうか。
「だ、大丈夫じゃないよ・・・だって、私たち、さらわれたんでしょ・・・」
どうしてそんなに冷静なのかを問いただしたくなる。
「そうだろうね。けど、もう何したって逃げられないし、どうしようもないから諦めたら?」
「そんな・・・」
そんなことを言ったって、簡単には割り切れない。
「うっ、ぐすっ」
目から涙があふれてくる。
「ちょっと、泣かないでよ。どうしたらいいかわかんないじゃん」
女の子が慌てる。
「だ、だってぇ」
泣き顔をさらす私を、彼女は必死になだめる。
その時、急にうめき声が聞こえ、馬車が止まる。
「なんだてめぇ!? ぐぁっ」
「うっ」
私と彼女は振り返る。何かあったのだろうか。
「やられてるのは、私たちをさらった奴ら?」
「だったらチャンスだよ! 逃げよう!」
私は逃げるチャンスだと思った。
けれど彼女は現実を見ている。
「何言ってんの? これがついてる時点で逃げるとか無理だよ」
シャラ、と手錠と足枷を私に見せる。
「あ、・・・そう、だよね・・・」
顔をうつむける。
その瞬間、バッと荷台に張られていた布がめくられる。
「くそっ!」
男が入ってきた。
運悪く入口付近にいた私は、男に腕をつかまれ引っ張られる。
「っ!?」
「ちょっ、」
私は驚いて固まり、彼女は抗議しようと口を開く。
「これ以上近づくんじゃねぇ! こいつら全員殺されたくなかったらなぁ!」
男のその言葉と同時に荷台に張られていた布は切り裂かれてはらりと地面に落ちる。
そこに見えたのは。
「外道が」
鋭い眼をした、フード付きの長いローブを羽織った男性だった。
長らく更新できずにすみませんでした!
少しの間、出来るだけ1日に多く更新できるようにします!




