冒険者の仲間
王宮を出てから、ツミナは冒険者ギルドに向かった。
(いるかはわからないけれど)
知り合いを探しに。
カラン
ギルドのドアを開ける。
中は相変わらずにぎわっている。
(ファラさんは・・・いなさそうだ)
中を見渡すツミナ。だが、少し前に共に依頼を受けた冒険者・ファラは不在のようだ。
会えないことも想定していたので、ツミナは迷わずにギルド内のカウンターに向かった。
「すみません。冒険者の方への手紙をお預けしてもよろしいですか?」
ツミナは小さな紙を受付嬢に見せる。
「はい。大丈夫ですよ。貴方のお名前とどなた宛てかを教えてもらえますか?」
「私はツミナと申します。ファラ、という方にお願いします」
するとメモを取っていた受付嬢が顔を上げた。
「ファラさんのお知り合いですか?」
「はい。一度依頼にご一緒させていただきました」
「わぁ、ファラさんってばいつの間に男の人捕まえたんですかぁ!?」
ここにはいないファラに対してはしゃぐ受付嬢。
「あはは。では、この紙を渡してもらえますか?」
「あ、はい。わかりました」
微笑んだツミナはお礼を言ってギルドを出た。
1
ツミナが出てから数分後、入れ替わりとなるようにファラは冒険者ギルドに訪れた。
何か受けれる依頼はないかと探していると、見知った受付嬢がファラの方へやってきて、紙を渡す。
「これは?」
「ツミナさん、という方からファラさん宛てにこれを預かったんです」
その言葉を聞いて、ファラは急いで紙を開いて見る。
『お久しぶりです、ファラさん。今日、法国を旅立つこととなりましたのでご報告させていただきます。
依頼の件ではお世話になりました。法国に来て最初に出会ったのが貴方で良かった。お礼申し上げます。
またどこかで会いましょう。 ツミナ』
手紙の内容を読み、ツミナが法国を旅立つことを知ったファラは、急いでギルドを出ていった。
「ちょ、ファラさん!? ツミナさんって方のこと、聞こうと思ったのにぃ。ま、後でいいか」
受付嬢はファラの行動に驚きながらもため息をついてからまた業務に戻った。
2
街中を走り回るファラ。
「はぁっ、はぁっ!」
陛下の騎士となったから、ツミナは法国に残るのだと勝手に思っていたファラ。
出ていくなんて、思わなかった。
ファラは国の門へと向かっていた。出国をする為の門だ。
列が見えた。出国するために皆並んでいるのだ。
列の横を通りながらツミナを探す。
「ツミナ殿!」
「・・・ファラさん?」
ツミナらしき背中を見つけたファラが叫ぶ。
振り返ったのはツミナ本人だった。
「どうしてここに・・・」
ツミナがファラが現れたことに驚いていた。
列が進み、ツミナの番が。
(遅かったか・・・)
ファラが膝に手を乗せ息を整える。
「大丈夫ですか?」
するとすぐそばでツミナの声が。
「え」
ファラが顔を上げると、ツミナは確かにそこにいた。
「え? どうして・・・順番が来たんじゃ・・・」
「あ、はい。でもファラさんが呼んでいたので・・・」
ツミナは列を抜けた来たのだ。出国しようと思ったらまた列に並ばないといけない。
「す、すまない! 引き止めるつもりではなかったのだが・・・」
「いえ、私がギルドに手紙を渡したからですよね」
「そ、そうだが・・・国を出ていく、とは本当だったんだな・・・」
「はい」
ツミナが頷く。
「そうか・・・騎士の仕事はどうしたのだ?」
「やめました。陛下も承知の上です」
「そ、そうなのか!?」
一度騎士に任命されると大抵は一生騎士なのだが、ツミナの場合は例外だ。
「ファラさんにはお世話になったので、手紙をギルドに託したのですが・・・」
「世話など・・・逆に私が世話になったくらいだ」
「そんなことは。・・・依頼を貴方と一緒にできて良かったです。冒険者はこれからも続けるつもりなので、またどこかで会ったときはよろしくお願いします」
「勿論だ、また会おう」
握手を交わす2人。
「では」
「ああ」
それが、最後だった。




