ワーナー平野へ
戦争の場所であるワーナー平野。ここで戦争が行われることは、両国とも承知の上だった。
そして今日は、出発の日。
「皆の者! 聞け!」
兵士、将軍など、戦争に赴く者たちが集まる中、1人、声を上げる王様。
「今から王国との戦争に行く! 皆剣を持て! 弓を持て! 盾を持て! 今度こそは負けん! 覚悟あるものはついてこい!!」
オオーーー!!!
と皆の雄たけびが空に響く。
馬に乗ったカラーディナが前線をかける。
その後ろには騎士・ツミナと、魔術師・イルナー。
それに続く皆。
法国の準備は、十二分に整っていた。
1
ワーナー平野には半日でつく。
その道中。
(ついてこい、と言われるとはな・・・)
ツミナはカラーディナについてこいと言われたのでついていっている。だが、ツミナ自身はついてくるなと言われると思っていた。どう考えても役に立たないからだ。
ちらりと前を走るカラーディナを見る。ふと見えた瞳は、復讐の怒りの色が燃え上がり、煮えたぎっていた。このときを待っていた、と言わんばかりに。
(戦争なんて、復讐なんて・・・本当に、くだらない)
そう思っても、何も覆せない。それが、ただ、空しかった。苦しかった。
2
平野につくと、既に王国の兵たちは来ていた。
夕方に差し掛かっている今、戦争を始めると夜に突入するだろう。なので自然と明日が開戦の日となった。
3
王国軍は、法国より先にワーナー平野に到着していた。
「はぁ」
用意されたテントの中で、ため息をつく王・ベールド。
「陛下、皆の士気が下がります。ご自重を」
するとそんな王をとがめる声が。
「シュイーツよ。今ぐらいは許してくれ。戦争など、余は・・・」
「それ以上は口にしてはなりません]
弱音を吐きそうになったベールドを、シュイーツ、王国の王女が止めた。
「貴方は王です。娘の私にだって、弱音を吐いては、ならないのです」
自分で言っておきながら落ち込むシュイーツ。王とは、孤独なものだ。
(ああ、私だって弱音を吐きたいのです。どうしてこのようなことに)
自分も守られる側の存在でいたい。そう願ったことは幾度もあった。だが、結局はどうあがいてもシュイーツやベールドは、守る側の存在なのだ。
「陛下、殿下、そろそろお時間です」
「わかった」
そして、王は立ち上がった。
4
テントを立て、皆が休む。だがそこでも灯かりはついているし、見張りや起きている兵はいる。
士気を上げる為に、酒も少し持ってきている人もいたようで、飲んでいる人もいた。
(飲んででもいないと、やってられない、か)
酒を飲み、酔っている人の気持ちを考え、ため息が出る。
(もう、どうにもできない、か)
すると、会話が聞こえた。
「どうして、どうして戦争なんてことが・・・」
「しっ! おい、陛下や他の奴に聞かれたらどうするんだっ」
「でも、俺には、俺には家族がいるんだ。嫁や、娘2人も、おいてきた。もし、死んでしまったら、あいつらはどうなるんだ・・・」
「・・・俺だって、おふくろがまだいるんだ。息子より後に死ぬわきゃいかねぇって、言ってたよ・・・残して、言っちまうのかなぁ」
弱気を漏らす2人。
それを横で聞いていたツミナは、拳を握りしめる。
(どうにもできない、だって? 力がありながら、どうにもできないだと? どうにか、するんだろ!!)
心の中で、自分に怒鳴る。
(平和を守りたいなら、勇者だって意地、見せる時だろ)
4
開戦真近。
「天気、危ういな・・・」
あいにく、天気は曇り。もうすぐ雨も降ってきそうな雰囲気だ。
(今回はこの天候に、背中を押されているように感じる)
自分で考えて笑ってしまう。
(背中を押されなくても、やるしかないだろう)
ぐっと覚悟を決めなおす。
「ツミナ。お前はテントの中にいろ」
するとカラーディナに命令された。
「・・・わかりました」
ツミナは答えてからテントで待機。
少しすると、声が。
「我はパウラ法国女王、カラーディナ・エル・パウラである! ここに、リンデル王国との戦争開始を宣言する!」
カラーディナの声。次に。
「余はリンデル王国国王、ベールド・ビ・リンデル! 同じく、ここにパウラ法国との戦争開始を宣言する!」
ここに、法国と王国の戦争が、開幕――




