将軍任命試合 3
ツミナは青年にもっと〖聖剣〗もどきについて聞きたかったが、今はまだ試合中だと自分に言い聞かせる。
「では、とりあえず試合を再開しますね。次はどなたですか?」
ツミナは残り2人に問う。
「じゃ、俺が先に行かせてもらうぜ」
ひょいっと腰掛けていた岩から立ち上がった男。
先ほどの青年とさほど年は変わらないだろうが、雰囲気が違う。
「初めてもいーか?」
「ええ。いつでも」
その瞬間、男が飛び出してきた。
「!」
ツミナがその時、驚く。
男の剣をよけたツミナだが、次に魔法が襲ってきたのだ。
「魔術師、でもあるということですか」
「ああ、まぁな」
ツミナと同じ、ということだ。魔術も使い剣術も使う。
「barrier」
静かに、小さく唱える。
ツミナの剣が一瞬光った。
剣に結界魔術を使ったのだ。これでツミナの剣は魔法や魔術を防げる。
長期戦になると厄介な相手だと判断し、一気に決着をつけに行く。
「っ!」
男はツミナが急に飛び出してきたことに驚くが、反撃することを忘れない。
「Freezing!」
氷の上位魔法だ。
だが、結界魔法をかけられたツミナの剣にはじかれる。
男が驚いているうちに、決着はついた。
「俺の負けだ」
肩をすくめて見せる男。
1
「では、最後の人」
ツミナは最後の1人を呼ぶ。
フードを目深にかぶっている。身長は160センチ程度。男性としては低いと思われる。
「・・・」
構えをとる両者。ぴりっとした空気が走る。それを感じて、ツミナが笑った。
(ああ、ここにきて強者と出会えるなんて)
ツミナは高揚感が抑えられなかった。
つい笑ってしまう。
それを見て相手は襲い掛かってくる。なめられた、と勘違いしているのかもしれない。
ガキィン
剣と剣のぶつかる音。
ツミナが打ち合いをしようと剣を繰り出せば相手もそれについてくる。
気分が戦闘用になってきてしまい、つい相手に強い一撃を入れてしまう。
相手はざざっと地面を踏みしめて姿勢を保つが、後ろに退いた。
「ああ、すみません。とても今、気分が良いんです」
ツミナが微笑みながら言う。
相手はすぐに襲い掛かってきた。
右、左、突き。次々と攻撃を仕掛けてくる。
すねを狙われる。ツミナはそれさえも剣で防ぐ。そこで相手を殴る。みぞおちを狙う。が、後ろによけられた。
(これだけ試合が続いたのは始めてだ)
ツミナの気持ちの高ぶりは止まらない。
どんどん攻撃を仕掛けていく。
相手が防戦一方になってしまった。それでもツミナの動きに必死についてきている相手はすごいと感じる。
「っ!」
相手が歯を食いしばる音。
かなり責められているようだ。
「これを使いたくはなかったけれど・・・」
その時、相手の声が聞こえる。
(この声・・・?)
ツミナは一瞬、相手の声に首をかしげる。
すると次の瞬間。
相手が一瞬で跳躍してきた。
「はぁっ!!」
相手のフードが取れる。
中は――
「やはり貴方は――」
攻撃が迫る。一度に多数の刃が迫った。錯覚ではない。実際にやって見せているのだ。相手が。
だが、防ぐ手はある。というより、知っている。
「うわぁっ!」
周囲の人に被害が及ぶ。相手が作り出したその剣が、刃の風となって地面やら壁やらを襲ったのだ。
カラーディナはイルナーの魔法に守られている。
「っ・・・」
そして彼女にツミナは言った。
「やはり貴方は、女性だったんですね」
「っ・・・今の、どうやって防いだんだ」
ふわりとポニーテールが揺れた。
「さぁ、どうやってでしょうね」
ツミナは彼女の問いに、優しくほほ笑んだ。
2
「では、将軍を任命させていただきます」
将軍任命試合に参加していた人達が全員そろったところでツミナの口が開かれる。
「今回合格者は3人」
微笑み、一泊おく。
「君と、」
1人目に、〖聖剣〗もどきを扱う青年を指し、
「君」
2人目に、剣と魔法を使う男を、
「最後に、貴方」
3人目に、特殊な技を使った彼女。
「この3名を、将軍とします」
将軍任命試合の幕が閉じ、新たな将軍ができた。




