王国では
ばたばたと慌ただしい王都。
「今度襲われたのはどこの村だ!?」
「ダイ村です!」
王と臣下が慌てながら話している。
「くっ・・・法国め!」
「陛下、もう、戦争をするしか・・・」
「わかっている。だが・・・」
ここ最近、王国の辺境の村がいくつも襲われている。襲っているのは法国の兵士たちだ。
臣下たちも戦争をするしかない、と考え始めている。ここまで民を襲われて、黙っている訳にもいかない王。だがそれでも、戦争をするということは大勢の人々が、敵味方関係なく死ぬのだ。
「やはり、このままでは終わらせてくれないのか・・・」
前国王であった法国の王の娘。今の女王のことを考え、王国の王はため息をついた。
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「撤退ー! 王国兵が来たぞー!」
法国の兵の声。
バタバタと王国の兵が馬でかけてくるのを見るや否や、すぐに撤退していった。
「くっそ!」
「法国兵、また逃げやがって!」
「いっつも逃げてばかり!」
村についた王国兵は口々に文句を言った。
だが、聞こえた声に状況を思い出す。
「皆さん、とにかく今は村の人々の手当てを! 重症の方からなるべく見ていってください!」
兵士がまたバタバタと動き出す。
「殿下、一度お休みになった方が・・・」
「イザベラ。私は大丈夫です。それよりも民の方が優先です」
「ですが・・・」
ここ三日、休みなしに馬で村々へと走り回っているのに、という王女・シュイーツに対しての言葉を、護衛・イザベラは飲み込んだ。
「治療は魔術師の方々に任せて、私も民を見ていきます」
「お供します」
民の所へ行き、状態を訪ねる。
「少し失礼しますね。・・・足の怪我と、他にはどこか怪我はありませんか?」
「あ、ああ。大丈夫」
血が滴る民に何の躊躇もなく触れるシュイーツ。そのことに民は驚いたが、安心していた。
「イザベラ、近くの人をお願いします」
「はっ」
イザベラもシュイーツのそばで民の様子を見て処置を行う。
(ツミナさん・・・今頃、どうしているんでしょう。彼がいたら、どんなに心強かったか・・・)
確かに、ここにツミナがいれば、一瞬で皆の怪我を治してしまうだろう。
だが、すぐにシュイーツは頭を振る。
(彼に頼り切りではいけないと学びました。自分自身で何とかしなければ)
辺境の村で、今日も王女と護衛、兵士たちは走り回る。民の為に。




