決闘 3
3日という時間は、案外短かった。
すぐにやってきたその日。もしも勝敗を誤魔化されると厄介なので、見物人、近衛兵を連れていった。
オルガン家につく。執事が出迎えに来ていた。
「お待ちしておりました。どうぞ、中へ」
屋敷の中を案内される。通されたのは、広い中庭。土の何もないスペースがある。訓練ようだろうか。どうやら決闘はそこでやるようだ。
「ご機嫌麗しく、陛下」
オルガンが出てきた。1人の男を連れて。
「そちらが我の騎士の対戦相手か」
「ええ。私が護衛として雇っているオスタル、というものです」
紹介されて、男、オスタルは口を開いた。
「お初にお目にかかります。オスタルと申します」
丁寧にお辞儀するオスタル。
「ああ」と、カラーディナは小さく返した。
「今回、貴方と決闘させていただくツミナです。よろしくお願いします」
「オスタルです。よろしくお願いします」
ツミナとオスタルは2人で会話を交わす。
その後、近衛兵が審判となり、2人は対戦場所に移動する。
2人ともが剣を抜いて構えている。それを見て審判が合図を下した。
「はじめっ!」
その瞬間、オスタルはツミナに襲い掛かってきた。
オスタルの両手で持たれた剣を、剣を片手で持っているツミナが防いだ。当然ながら両手で持たれた剣は一本一本が重い。
「ふっ」
オスタルは息を吹き出すと同時に2本目を繰り出してくる。横、胴を狙ってきた。
ツミナは上手くそれをはじいてからその勢いを兼ねてオスタルに剣を振りかざす。オスタルもそれを防いだ。
ツミナはまだ本気ではない。オスタルも本気ではないはずだ。様子を見ている。両者とも。
ちなみにツミナが本気を出すのは魔王レベルだと思っておいていただこう。
「は!」
そこでオスタルが真っすぐ突き刺すように剣を次々と入れてくる。ツミナはその剣を一つ一つ丁寧にはじく。速さを重視したオスタルの突きを器用に剣の腹で受け止めるツミナの技術。両方ともかなりの腕前だと見えた。
「・・・」
カラーディナとオルガンが静かに見守っていた。この二人の勝負で、当事者二人の人生が決まるのだ。
緊迫した状況が傍観者たちのあいだで広がる。
(今回は勝つって言ったし、早めに終わらせるか)
ツミナが一瞬、何かを見極めるように鋭い眼をした。
オスタルはそれを直感的に察したのか、一旦後退した。
スッと、ツミナが片手で持った剣を前にやり、構えをとる。同じく、オスタルも両手で剣を持ったまま構えなおした。
静寂。瞬間――
ガン!!
剣と剣がぶつかり合ったはずなのに、重い、響くような音が。
受け止めているのは、オスタル。今の攻撃をしたのは、ツミナ。
オスタルの頬に、冷たく冷や汗が走った。
(みえ、なかった・・・! なんて速さ・・・)
直感を大いに使い、オスタルは今の一撃を間一髪で受け止めたのだった。
オスタルが集中する。先ほどより、もっと。もっと、深く。
ツミナの攻撃が、次の瞬間迫っていた。
瞬きを止めたオスタルがツミナの剣、動き、体を凝視して、どこから攻撃が来るかを見る。
ガン――キンキンキンキン
先ほどとは比にならない速さで剣と剣がぶつかり合う。
傍観者たち、そして当事者たちにもやっとのことで映像が目をかすめている程度だ。
「ぐっ、ぅ!」
オスタルが歯を食いしばる。
つばぜり合い。両者が剣と剣で押し合う。ツミナもかなり力を入れているようだ。顔が真剣味を増している。
「っ――――!」
その時、ツミナが僅かに後ろに押された。
オスタルが押したのだ。
ツミナの少し驚いた顔。
「はぁっ!!」
オスタルの反撃が始まる。
ガッ
変な音。
オスタルの攻撃を次々と受け止めていたツミナの剣が少しかけたのだ。
「!」
ツミナが声には出さないが驚く。これでは少ししたら剣が使い物にならなくなる。
「――――」
ツミナが一気に仕掛ける。
ななめに振り下ろされるツミナの剣。それを剣で防ぐオスタルだが、ツミナの剣にそのままはじかれた。無防備になったオスタルの腹にツミナのけりが入る。
「ぐぁ!」
数メートル飛ばされて転がるオスタル。
この攻撃は予想していなかったらしい。
だがすぐに立ち上がった
「っ」
――時には遅かった。
「・・・負けました」
ツミナの剣がオスタルの首筋に。
降参を認めるオスタル。
ツミナが剣を鞘になおす。
「こっ、こんなことは認められない!!」
その時、男が醜く叫んだ。




