視察 2
町長も見つけて水を与えたツミナ。少しの間眠る町長を待つ間、イルナーがカラーディナに報告をしに行ってくれた。
それを聞いてカラーディナはすぐにやってきた。
「町長は無事か!?」
焦った様子だ。そんな彼女にツミナは慰めるように言う。
「大丈夫です。かなり消耗していましたが、これから栄養ある食事や適当な水分をとれば健康体でしょう」
「ああ、ありがとうございます。ありがとうございます」
町長はそんなツミナに手をあわせお礼を繰り返す。
「そうか、よかった。礼を言う、ツミナ」
「いえ」
ツミナが軽く会釈する。
「町長、私はカラーディナ・エル・パウラだ。今回はこの町に視察に来たのだが・・・来るのが遅くなってすまなかった。このような状態になっているとは・・・」
カラーディナの悔しそうな顔がその言葉を本当だと示していた。
「へ、陛下でしたか・・・勿体なきお言葉、ありがたく・・・ですが陛下が救ってくださったのも事実。この方は陛下の魔術師でしょう?」
「いや、此奴は私の騎士だ。私の魔術師ではない」
「へっ? 騎士様でしたか! 失礼を・・・」
ツミナの隣りでイルナーが悔し気な表情を見せている。
「せっかくだから紹介しておこう。おい」
カラーディナに促され、ツミナが名を告げる。
「陛下の騎士を務めております、ツミナです」
礼をする。
「ツミナ様ですか。改めて、皆を救ってくださり本当にありがとうございます」
「皆様が無事で本当によかったです。私は少し手助けをしただけなので。ですがこれからの生活をしっかりさせないとまた同じことになりますよ」
「・・・わかって、いるのです・・・ですが・・・」
町長が言葉に詰まる。
「・・・どうしてこうなったか、聞かせてくれ」
「はい・・・」
カラーディナに言われて、町長はおとなしく頷いた。
1
町長の話はこうだった。
最初はどこにでもある、少し小さな町だったようだ。税も払えていたし、農作物もよく育ち緑の多い所だった。
だが、領主が変わってから町は一変した。
「税を倍にする」
新しい領主が民に姿をみせ、放った言葉がそれだったという。
税を倍にされたら、民たちは生きていけない。それだけの作物もないし、代わりの金もない。
もちろんその場で払えないと言った町長。だが、領主は何もいうことを聞いてくれなかったらしい。
それで民はやせ細り、それでも税を払えと働かされこの状態にいたたった。
その領主は、元々王都で大貴族として知られていたダイス・オルガスという男だった――。
2
「門を開けよ。王都からこのカラーディナ・エル・パウラが参った」
カラーディナが大声で叫んだ。
今、カラーディナにつれられて、ツミナとイルナーは3人だけで領主にオルガス家に来ていた。
カラーディナの声を聞いた者が半信半疑で領主のいるところへ走っていった。
現・領主のダイス・オルガスは、王都で大貴族として知られていたが少し前にこの町の領主として任命された。いや、王都から追い出された。カラーディナの手によって。
オルガスが横領をしていたことが判明したのだ。そのことで民たちが困り、仕事の効率が悪くなったことを知ったカラーディナが怒り、辺境の町へと追い出したのだ。
「お待たせ致しました。どうぞ中へ」
しばらくたつと、執事がやってきて門を開けた。
カラーディナは憤慨した様子で屋敷内をずかずかと歩く。
客間の中で立ち止まった執事は扉を開く。
「ようこそいらっしゃいました。ご無沙汰しております。カラーディナ陛下」
にたにたと気持ち悪い笑みを浮かべたオルガンが、そこにはいた。




