騎士の仕事 2
カラーディナの騎士として王城に部屋をもらったツミナは朝、イルナーに起こされた。
バンバンバン!
うるさくノックがなされる。
「なんですか、朝から」
「陛下がお起きになられる時間だ。お前も起きて仕事をしろ」
「・・・わかりました」
しぶしぶといった様子で仕度するツミナに、イルナーはいらだっているようだ。
騎士の正装、というものに着替えるツミナ。騎士の清掃は堅苦しい服だ。黒の服に金の装飾がたくさんある豪華な服だ。
「お待たせしました」
部屋から再びでてきたツミナは真っ先に怒られる。
「遅い! 陛下の起床時間に間に合わぬではないか! 急ぐぞ!」
早歩きで急ぐイルナー。ツミナもそれについていった。
1
「「おはようございます」」
ツミナとイルナーがカラーディナに挨拶をする。カラーディナは片手を上げて返した。
「今日は大臣たちとの会議が午前にある。2人は私の後ろで待機するように」
「了解しました」
「わかりました」
ここで説明をはさむが、イルナーは宮廷魔術師であり、更にその上の側近魔術師、護衛を任される地位だ。騎士と同じ立場、ということである。
そして大臣たちとの話、というのは――
(リンデル王国との戦争――ね)
小さくため息をついたツミナだった。
2
「これからリンデル王国との戦争について会議を始める!」
大臣たちがカラーディナの言葉に頭をさげてから会議は始まった。
今の状況が説明される。
今回の戦争はカラーディナの私情も入ってくる。王国への復讐。そして前回の戦争で負けたという記録を消すための汚名返上。この2つが主な理由だ。そしてもう一つ。王国は今とても栄えている。作物の生産が盛んだ。法国では作物の生産率が年々減ってきている。あわよくば王国の利益をもらおうと考えているのだ。
「今王国へ少数だが兵を送り辺境の村を襲わせている。王国も戦争の準備を始めているだろう」
「場所はやはりワーナー平野ですかな」
「ワーナー平野」。かつて、王国と法国の戦争で王国が勝利した場所だ。カラーディナにとっては父の首が飛んだ因縁の場所。
「ああ。勿論だ」
その後数十分してから会議は無事終わった。
カラーディナからツミナたちに少し休んでいいとの命が下った。
ツミナはイルナーより先に「失礼します」と言って出ていった。
3
廊下を進む。人気がないところで立ち止まった。
そして、ドンっと壁に拳をぶつける。ぐっと拳を握りしめたまま。
「戦争なんて――くだらない。人の命を、なんだと思っているんだ・・・!」
小さくつぶやいた言葉。
それは、誰にも届くことがない、はずだった。
4
先に休憩に入ったツミナを追いかけるイルナー。朝の態度について少し小言を言おうと思ったのだ。
追いつく、というところでツミナが急に立ち止まった。
おい、と声をかけようとした時。
ドンッ
ツミナが壁を叩いた。
少し驚いていると、小さく声が聞こえた。
「戦争なんて――くだらない。人の命を、なんだと思っているんだ・・・!」
先ほどの、戦争の話についてだとすぐにわかった。
イルナーは、そのままツミナに声をかけずに来た道を戻った。




