騎士の仕事
ツミナはカラーディナのあの言葉を聞いた後、すぐさまそこから逃げた。逃げなければきっと、王城にとらわれカラーディナの騎士をさせられることになっていたから。
だが、出国することもできない。砦には兵がいて、外壁を伝うと、すぐにみつかるであろう。
(これからどうしたものか)
ツミナは途方に暮れている。
どうやっても見つかるしかないようだ。
屋根の上へと路地の合間を伝って上ったツミナ。悠々とそこを歩く。道では兵士たちがくまなくみまわっている。
最近はこうやって兵士たちの目を逃れていた。
だが、それにも終わりはやってくる。そんなことは、わかっていた。
1
ある日、魔術師がツミナの前に現れた。
それは、唐突だった。
その瞬間、景色が変わった。
2
目を開けると玉座の間。座っているのは勿論女王。
「よくやった。イルナー」
「はっ。ありがたきお言葉」
魔術師はカラーディナの手先。まさか転移魔術を使われるとは思っていなかった。
転移魔術は高度な術だ。かなりの魔力を必要とする。使える魔術師は国に1人いるかいないか。そんな貴重な魔術師を法国が所持していたとは。
「転移魔術とは・・・中々いい魔術師をお持ちで」
ツミナが挨拶もなしに口を開いた。
隣にいた魔術師・イルナーはツミナの対応に顔をしかめている。
「まぁな。・・・それで、随分と逃げ待っていたが覚悟はついたか?」
「覚悟、ですか。元々打つ手はなかったので、別にいいですよ。貴方の騎士とやらになっても」
「ほう」
「ですが、私が仕事をするとは思わないことですね」
ツミナの反抗的な態度に、カラーディナはますます笑みを深めていったのだった。




