宿でのもめ事
民宿、といったようなところの宿を借りようと考えて立ち寄ったのは宿「ウルウ」。どこにでもある普通の民宿だ。
お金を前払いし、部屋を確保してツミナが一安心したところで。
部屋の中だったのだが外から大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
その声に反応してツミナは受付に戻ると、大男と受付の日弱そうな男が向かい合っていた。
「てめぇ、ふざけてんのか!?」
「そ、そんなっ、この価格は皆さん同じです!これ以上安くなど・・・」
言葉尻がすぼんでしまって、いかにも説得力のない受付の男に、大男はいらだちを隠せないのと、案外この男が譲らないのを見て更に苛立っている。
自分から首を突っ込むこともないのでツミナは放っておいた。
が、夜。
就寝時間になっているというのに怒鳴り声は健在だ。
さすがに他の客も気になり始めたようで受付へ皆出ていっている。
ツミナももう一度受付へ向かった。
「だからっ、銅貨一枚くらいいだろっつってんだよ!」
「ひいぃ、で、ですが、ですが・・・」
ドンっとカウンターを打ち付ける男に受付の男はビビり顔で答える。いや、答えになっていないか。
「ちっ、話の通んねぇ奴だなぁ!」
さすがにツミナも寝たいのでその大男の前へでる。
「すみません。そろそろ騎士さんを呼ばなければいけないのですが、引き下がってはいただけないでしょうか」
ツミナが前へでると更に勢いを増す男。
「ああ!? どけよ! お前には関係ねぇ!」
イライラしながら怒鳴る男に、ツミナはスッと手を伸ばす。戸惑う男が次の瞬間ひっくり返った。
「っ!」
どすん、と背が床につく。投げられたのだ。ツミナに。
「お引き取り下さい。ね?」
ツミナの笑顔が恐ろしく感じられる早業だった。
男は顔を引きつらせながら渋々金を置いて出ていった。これで済んだからよかったものだ。
「さ、よかったですね。では」
受付の男にお礼を言われながら部屋へ向かった。
まだまだ平和、というのには遠いのでは、と感じてしまうも、それは仕方がないし、自分が考えることではない、と割り切って、ツミナは意識を手放した。




