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勇者の称号を得た者が役目を終えてからのお話  作者: AMITOA
~学園の教師になってしまった元勇者~
24/89

腕前 3

 先ほどの敵を一掃し、一人の男を追う。おそらく、そいつが行く場所が地下の2人がとらわれている場所だ。

 男は一つの扉の前で立ち止まって扉を開けた。


「ダンさん! 侵入者がっぁっ・・・」


ツミナのけりによって男が白目をむいて倒れる。


「「ツミナさん!」」


2人が叫ぶ。

 中にいた男が振り返った。

 ツミナは2人を一瞥しただけで何もいらない。


「誰だ? お前。どうやって入ってきた」

「正面からだ。それと、もういいか」


剣に滴る血をみて、それは男もわかっていたはずだ。


「ふっ。まぁいい。俺は《剛腕(ごうわん)》ダンだ。あんたはこの姫さんの護衛か」

「そんなところだ」


ツミナが端的に答える。

 ダンが名乗ったのに対してツミナは名乗らない。


「礼儀くらいは守ってくれよ、にいちゃん」

「礼儀? 殺し合いに礼儀は必要ない」

「はっ、そういう考えの奴か」


舌打ちが聞こえる。

 ツミナは一向に気にしないでダンがかかってくるのを待っている。

 ダンはそれがわかったとともに地面をけって移動した。

 ツミナに襲い掛かる。


「はぁ!!」


ダンが腕を振るう。ツミナが腕の腹で拳を受け止める。が、件にひびが入る。


「あぁあぁ、剣が壊れちまったぜ。にいちゃん、これで俺の勝ちは決定した」

「どうしてそう思う?」


パラパラと剣のかけらが地面に落ちた。


「ああ? 剣士は剣がなけりゃ戦えねぇ。そうだろ?」

「そうとも限らない」


 ツミナは構えをとる。


「はっ。体術か? それが専門の俺に? なめてかかると、死んじまうぞ!」


ばっと飛び出るダン。

 ツミナは冷静にそれを見つめてから判断する。

 右ストレートがツミナに迫る。ツミナは左によけ、そのまま膝蹴りを入れようとするが、ダンはそれを()()()()()()

 そのまま肘鉄をツミナに食らわせる。


「っ・・・」


あくまでも声は出さないツミナ。ダメージはまぁまぁだ。

 対してダンはさほど厳しい顔つきはしていない。ツミナのけりの位置をずらし、急所を外したのだ。


「おいおい、ひょろっちいけりだな」

「・・・」


ツミナは黙って今度は先に仕掛ける。

 ダンの方に跳躍したツミナは顔に拳を入れる。だがダンはツミナの拳を受け止めぐっと力を受け取る。

 ミシミシと音を立て始めるツミナの拳。

 ツミナはすぐにダンから離れる。


「おいおい、これでお前の片手、使えなくなっちまったぜ」

healing(ヒーリング)。これで元通りだ」


ツミナは治癒魔法で自分の拳を戻す。


「お前・・・剣に武術に魔術って、反則じゃねぇか」


ダンが初めて余裕を崩した。

 攻撃手段が多すぎて、ダンでは反撃できるかどうか、まず防げるかもわからない。ツミナが治癒魔法以外の魔術をつかえたら、の話だが。


「さっさと、終わらせてもらうぜ!」


嫌な予感がして、ダンはツミナへ襲い掛かった。

 ツミナは迎え撃つように構えた。



 シュイーツとイザベラは何もできずにただ2人の戦いを見ていた。


「ツミナさん・・・思った以上の強さですわ」

「え、ええ・・・」


シュイーツもはっきりとツミナの実力を見たことはないので驚いていたが、イザベラの驚きはもっとだ。自分ではきっとダンにはかなわないだろう。称号を持っている時点で相当強いはずだ。だが、ツミナは普通に渡り合っている。


(一体、何者なんだ・・・ツミナさんは)



(そろそろ終わらせないとな)


 ツミナもダンと同じことを考えていた。これ以上シュイーツとイザベラを放置しておくのは苦しい。


(ばれないように、仕留める――)


丁度、ダンが懐に自分から入ってきた。

 ツミナは〖聖剣〗を一瞬だけ召喚し、ダンの心臓を一突き。


「ぐ、はっ」


ダンが声を漏らす。

 そしてツミナは〖聖剣〗をしまう。

 ずる、とツミナ法へもたれかかってかた地面に滑り落ちる。


「・・・」


ツミナは最後まで静かだった。


「おわ、ったんですか?」


 イザベラの声が聞こえる。

 ツミナの目が優しいものに戻る。


「ええ、今しがた。お二人とも、怪我はありませんか?」


微笑みかけられて安心したようにため息をもらす二人。緊迫したような冷たい目のツミナと話す自信は二人にはない。


「殿下があの男に暴力を・・・」

「別にどうということはありませんわ。傷もかすり傷ですし」


拘束していた縄を解いてもらった二人はそう言った。

 ツミナはシュイーツの手をとりhealingをかける。頬などについていた傷が消える。


「ありがとうございます」

「なるべく傷をつくらないように」


ツミナはにっこりと微笑んだ。

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