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勇者の称号を得た者が役目を終えてからのお話  作者: AMITOA
~学園の教師になってしまった元勇者~
22/89

腕前

 今までは平和だった、気がする。そんなものを吹き飛ばすように襲って来る危険は、一体だれを狙ったものだ。そんなこと、わかりきっていた。

 さぁ、ゲームへの扉は開いている。



 目が覚めたシュイーツはメイドに着替えを手伝われながら済ませ、部屋をでる。


「おはようございます」

「おはようございます、イザベラさん」


イザベラと合流し、学園に向かう。

 馬車に揺られながら、シュイーツはほおづえをつき、カーテンの隙間から外をみる。


(このあたりだったわね。私が路地に迷い込んだのは)


ツミナと会う直前に迷い込んだ路地。そこからあった彼との出会い。幸運だったのか不運だったのかわからない。

 その時、ガタンっと馬車が揺れる。

 中に座っていたイザベラが椅子から腰を浮かせ、いつでも飛び出せるように構えをとる。

 シュイーツに目配せをし、合図をもらってから勢いよくドアを開けるイザベラ。

 そして投げ込まれる催眠ガスの玉。一気に馬車内に充満するガス。


「っ!」

「くっ」


外に出るまもなくガスにやられてその場に崩れ落ちる2人。

 中に入ってきた口元を布で覆った男たち。彼らに連れ去られた2人は、どこかへ連れていかれた――。



 ツミナが王女と護衛が連れていかれたという報告を受けたのは、先ほどの出来事から数十分後だった。


「誘拐・・・? 街中で・・・?」

「住民たちも数人被害にあっている。不幸中の幸いか、死人はいないが」


学園長から話を受けたツミナは立ち上がる。


「今日は休みということで」

「だ、だが、どうやって・・・?」

「裏技ですよ」


不敵に笑って学園を去った彼は、冷たい目をしていた――。



 ツミナはフード付きのローブを身にまとって、路地裏の中にある、とある店を訪れていた。

 カラン、と音を立てて中に入る。中にいる人たちは全員顔が見えない。


「情報をもらいたい」

「金は?」


受付の男が無機質な目でツミナに所持金を問う。

 ツミナはずっしりとしたきんちゃく袋をカウンターにおく。

 中身を確認した男が驚く。


「ついてきてくれ」


そして個室に案内される。ツミナは彼についていった。

 中には肉付きの良い男が座っていた。


「ここは完全防音だ。安心してくれ。欲しい情報は?」

「王女誘拐について。誘拐犯のアジト」


ここは情報屋。金のある人には情報を渡す。誰であろうが、だ。

 ただ、知っていても渡せない情報もある。口止めされていたり、などだ。


「悪いがそれは言えない」

「追加の金を渡す」

「それでもだ」


情報がもらえないということだ。

 ツミナは黙って目をつむる。

 そして、次に目を開いたとき、前にいる男の目を見つめる。


「・・・っ!」


冷たい目。ツミナの威圧に負け、圧倒された男が口を開く。


「百イーム追加だ」

「・・・」


ツミナは黙って金を出す。


「王都は南端の建物の地下」

「・・・感謝する」


情報が手に入り、ツミナは店を去る。

 部屋にいた受付の男が問う。


「いいんですか? 命にかかわりますぜ?」

「今あいつに逆らっていたら店ごと俺らの命もぱぁだ。ありゃぁ無理だ」

「・・・そうですか」


ツミナの力量をみて判断したこの店は、ある意味賢明だったといえるだろう。

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