勇者の弟子(?)
ツミナは最近、少し挙動不審だ。
講義が終われば真っ先に出ていくし、廊下は早歩きで去っていく。
そんな彼の様子の原因を知っているのは彼女、イアリ・オスクーファである。
(くっ、また逃げられた。中々捕まえられない! 弟子の件、まだ返事を聞けてないのに!)
以前ツミナに弟子入りを懇願するも、保留のまま音沙汰なしという彼女。
ツミナはイアリに見つかりたくなくて逃げ続けているのだ。
勿論ツミナは弟子をとるわけにはいかない。
もしツミナの弟子となれば、「勇者の弟子」という大きな称号が与えられる。その実力に見合わなければ世間はそれを許さない。勇者というのはそれだけ大きな存在だ。
(それを知らずに言ってくれるから困ったものだ)
悪い気はしないがツミナが困っているのは確かだ。
頭をかきながら道を急ぐツミナであった。
1
教師の事務仕事を終えて、宿へ帰ろうと席を立ち上がるツミナ。
ちなみに、ツミナはまだ宿を借りている状態だ。
すると声をかけられる。
「あ、ツミナ先生!」
「はい?」
ツミナが振り返るとそこにはツミナよりsy腰年上の先輩教師、ケリーが。
「今日皆でのみにいこうって話してたんですが、先生もどうですか?」
「飲みに・・・はい、ぜひ」
少し迷ったが、これは受けておくのが無難だろう。
「じゃぁ行きましょうか」
そうやって一緒に出ていったのは、ツミナ、ケリー、アレハにナイツの4人だ。
ナイツに関してはあまり人と関わるイメージがなかったので少し意外だったが。
4人が向かったのはツミナの宿の近くの酒場「リパ」。
「どうですか? 学園は。もう慣れてきましたかね」
注文を待っているとき、そんな雑談がでた。
「そうですね。生徒の皆さんも中々気さくですし、心配していたようなことはなさそうです」
ニコニコと笑みを絶やさず雑談に応じるツミナ。
「ツミナ先生は人気ですから。生徒たちから」
「そうですか? それは嬉しいですね」
アレハにも言われ、そうなのかと少し驚くツミナだったが、次の瞬間意外な言葉も。
「女子の方の人気も、ね」
悪戯に笑う彼女はいつもと違う雰囲気だった。
そこでビールが来て、ジョッキを持ち一気に酒をあおるアレハ。
「ぷはっ。人当たりがいいとか、気さくで話しやすいとか、顔がいいとか。ツミナ先生に関しては恋心を抱く女の子も少なくありませんよ」
アレハはにやにやと口をゆがませる。
「あはは、それは困りましたね」
「その余裕とかもね」
アレハの言葉にケリーから笑いが漏れる。
「確かに、都市に似合わぬ余裕だな」
ケリーも中々の飲みっぷりで、もうすでにアレハと追加の酒を頼んでいる。
「教師になってから何年になる」
するとナイツが会話に入ってきた。
「今年が初めてですよ」
そのツミナの爆弾発言に、三人が一気にツミナの方を向く。
「いやいやそんなまさか。ね、先生」
ケリーが笑うがツミナはそこを隠すつもりがない。
「いえ、ほんとですよ」
半分ほどに減った酒を、ジョッキをもって揺らす。
「それまではなにをしていた。成人してから5年はあっただろう」
またナイツだ。
この世界での成人は15歳だ。
20数歳のツミナは、確かに5年は立っている。普通で考えると成人する頃には教師免許はとれている。
「ええ、5年ほど旅をしていました」
にっこりと答えるが、実際ツミナはこの1年弱しか旅をしていない。
少し5年とサバ読むのは無理があるように思えるが。
「ぜひその話聞かせてください。興味があります」
アレハがこの話に食いついてくる。
「いいですよ。最近回ったのは聖国ですね」
と、ツミナは生まれの国を話し始めた。
上手く話すものだ。生まれた国なら詳しいのは当たり前で、たくさん話せば5年分はいけるかもしれない。
「―-と、言う感じですね。どうですか?」
「その話は知りませんでした」
「中々興味深いですね」
「・・・(こくこく)」
なんだか酒を飲むごとにナイツが無口になっていくのは気のせいか。
「そろそろ12時ですね。早いものだ。勘定をしましょう」
ツミナが立ち上がる。
「そうだなぁ、行こう~」
ケリーも酔いがまわっているようで呂律が怪しい。
ツミナは平気なようだが。
「ええ、明日も仕事ですしね」
アレハはしっかりしていそうだが酒のおかげで口数が増えている。
「・・・」
対してナイツは無口だ。
「では、勘定をお願いします!」
ざわざわとした酒場の中、ツミナの声が店員の耳へと入った。
この十日ほど更新できずすみませんでした(~_~;)
頑張ってこれから更新しますのでよろしくお願いします(o*。_。)oペコッ




