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勇者の称号を得た者が役目を終えてからのお話  作者: AMITOA
~学園の教師になってしまった元勇者~
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王女殿下を狙う不届きもの

 護衛の仕事があるせいか、こんな情報が入ってきた。

 最近、王女を狙う勢力が動き出したと。同時に王の命も狙われている。

 王家の命を狙い、王国の権力をそぐためだろう。どこかの国からの刺客だ。

 聖国は同盟を結んでいるため、それはない。他の国だ。一体どこかは他の期間に任せて護衛の仕事を果たさねばならないツミナ。


(憂鬱だ。勇者を引退しても戦うなんて)


はぁ、とため息をついたときには、危険はすぐそばに――。


                       1


 次の時間、講義をするため廊下を歩いて講義室に向かっていると、ツミナを呼ぶ声が聞こえた。


「ツミナ先生!」


振り返ると、いつも合議を受けに来てくれている女子生徒が。


「どうしましたか。イアリさん」


彼女の名はイアリ。イアリ・オスクーファというそうで、ファミリーネームの方は結構しれているという代々続く剣士の家系だそうだ。


「あ、あの、私を・・・私を先生の弟子にしてください!!」


その言葉に、ツミナは一瞬目が点になる。


「で、弟子!?」


そして次の瞬間彼女の言葉を復唱する。


「はいっ。先生がシュイーツ殿下と戦っているとき、先生の剣筋がいいなって思って・・・。もっと強くなりたいんです! お願いします!」


イアリがそういったとき、ツミナは一瞬、ピクリと眉を動かす。

 それはイアリに対してではなく、人の敵意に対してだ。

 魔族との戦争で感覚はつかんだ。


「考えさせてください。では用事があるので失礼します」


それだけ言って早足で敵意の方へ向かうツミナ。

 一人取り残されたイアリは、ツミナが去っていった方を見つめる。


「あああ、・・・失敗しちゃったかもぉ」


そして一人落ち込むのだった。


                           2


 ツミナは敵意を感じながらその場へ急いだ。


(このタイミング・・・ということは、やはり――)


王女殿下、シュイーツを狙っている可能性が高い。

 歩いていると、中庭についた。

 そこには一人、件を振るシュイーツの姿が。


「っ、シュイーツ!」


だが、そこで嫌な感覚が体中を巡る。

 ついシュイーツの名を呼ぶ。

 そして地面をぐっと力強くける。

 今の彼の足なら一瞬で少し長い距離を移動できる。

 ばっとシュイーツの半身に抱き着くような形で地面へダイブ。


「っ、無事ですか!?」

「つつつつ、ツミナ先生!?」


シュイーツは顔を真っ赤にしてツミナの名を呼ぶ。


「早くここから去ってください!」


ツミナの切羽詰まった声に、シュイーツは事態を把握する。その視線の先には、地面に転がっているナイフが。


「先生・・・いえ、ツミナさん。これは・・・」

「この先の広場に向かえますか? 人通りが多いはずです。教師もいると思うので早く」

「・・・はい」


シュイーツがいる先に敵がいないかも把握して、走り去っていく彼女を見届ける。


「それで、手を出さなくてよかったのか? 標的は逃げていったが」


 そして、冷たい、敵を認識する目に変わったツミナ。

 敵を圧倒する、あの、冷たい感情のこもらない目に。


「お前の方が強いと判断した。標的を変更。何者」

「お前の答える名はない。ここで死ね」


冷酷に言い放って、構えをとる。剣はない。

 対して相手は短剣を装備している。


 両者が飛び出た。

 ツミナは相手の短剣をうまくかわしながら相手と渡り合う。

 相手が真っすぐに突き出してきた剣を腕で払いのけ前蹴りをくらわす。軽々とそれを交わしてから短剣を投げてくる相手。ツミナはそれを半身でよけ、相手の方へ跳躍する。巧みな足さばきで相手を惑わすが、それで終わる相手でもない。

 その時だ。生徒たちが近くを通りかかろうとしているのが渡りの窓から見えた。


(まずいな)


だが、それは相手も同じようで、相手は少し身を後ろへよける。


「俺は《風の子》エツ。また来る」


それだけ言った相手は、そのまま去っていった。

 ツミナはそれを追わなかった。


                         3


 シュイーツはツミナに言われた通り広場にでた。

 あいにく敵の気配はなく、少し安心するが、次に浮かんだのはツミナのこと。


(ツミナさん、無事、ですよね・・・?)


少し心配する気持ちが生まれる。


(あの肩の本当の実力を知りませんから、何とも言えませんが・・・)


目をふせ、憂いの表情をのぞかせるシュイーツ。

 そこでポンッと肩に手が置かれる。

 ビクッと肩を震わせるが、その人物がわかったところで安心に変わる。


「大丈夫ですか?」

「ツミナ先生・・・」


今のツミナに焦りはなく、いつもの余裕が現れていた。


「そろそろ講義の時間ですので、移動してくださいね」


にっこりと微笑みを抱える彼の言葉に、危険は去ったということは読み取るシュイーツだった。

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