11話 察知
地面に埋めた手から細い根を前へ前へと伸ばしていく
当然だが、樹木魔術は作るものを大きくすればするほど消費魔力が大きくなる。だから、できる限り細い根を伸ばしていく
ただし、細くするのは魔力量は減るかもしれないがその代わりに繊細な作業になっていくため決して楽ではない
実際、昔ならもっと細くできたものを顔の呪いの痛みとそれの修復のせいで集中できなくなり、根は小指ほどの太さになっている
この根はかなり繊細な根になっている
触覚が俺の身体以上に鋭い。代わりにかなり貧弱で普通に握ればくにゃりと曲がる。土を掻き分けてくだけでも大変だ
本当は洞窟前に草でもあれば干渉して使えるのに、面倒くさいことに奴ら綺麗に刈ってやがる。上には音の出やすい石がしいてある。確か、この石があるのはだいぶ遠かったような…
撃ち漏らしがないように入口を塞ぐことも考えていたが、ここまで知能があるとなると危険だろう。別の出入り口もあるだろうし、何よりヘンゴが危険だ。折角多少仲良くなれたんだ、わざわざここで殺すこともないだろう
さて、とりあえず物見櫓まで根は伸ばしたが物見櫓の下などには何もいない可能性が高いな。一切の振動を感じない
そして俺はそれから全方向に一本ずつ根を伸ばして敵の有無を確認していった
*
先ほど見つけた変なねじれ方をしていた木の元へと戻る
そこにはテントを張ろうとしているヘンゴがいた
「レン、どうだった?」
ヘンゴは振り返らずに聞いてくる」
「こっからおおよそ南の方向に一分くらい行ったところに隠れた見張りが二、三体いたぞ、多分」
ヘンゴは続きを促すようなしぐさをした
「他に俺程度では見つけられない高度な技術を持ったやつが隠れてる可能性もあるが、俺が見つけたやつらは隠れる場所としては最高の場所にいたが隠れる技術は適当だった
技術のあるやつがいるなら多分そいつに場を譲るだろうし、振動しか感知できない俺に見つからない程度の技術は教えるだろうから見張りはこいつらだけじゃないかな
推察するにゴブリンの中に相当頭の良いやつが生まれたんだろう
しかし気になるのはどうして明らかな人への対策を…
ってあれ?なんでヘンゴ君はポカンとしてるんだい?」
「ああ、いや、お前もちゃんとした頭を持ってたんだなって」
んん?
「失礼なやつだな
道化師は頭を悪いふりをしてるだけ、なめてると痛い目みるぞ多分」
「いや道化師どうこうじゃなくてお前に知性が感じられなかったんでな」
「あ?殴られてぇか?」
「いやまったく」
「ちっ、くそ。ぶっ殺すのは帰ってからにしてやるよ」
「おおありがてえ。
で、お前の予想が正しいとしてどうする?」
「夜中に一応見張りだけこっそりやってから奇襲かけようぜ」
「逃げるゴブリンへの対策は?」
「無いけど?」
「え?」
「え?」
「もしかして、なんでこれ受けたか理解して、ない?」
「いや理解くらいしてたし…」
「なら理由言ってみろ」
「お前の力試し?」
理解してなかったのかよ
「ちげぇよ、いいか?
ゴブリンの巣の殲滅ってのは証明が難しいだろ?
だから、ひとまず巣の壊滅さえできれば報奨金をもらって、半年新しい巣が発見されなかたっらそのまま。発生してたら報奨金とプラスでいくらかの罰金を払うことになるシステムになってる
でな、この依頼ってなかなかかな金が入るだろ?
だから暗黙の了解としてこの依頼は駆け出しの冒険者にとって割りのいい借金みたいにあつかわれる
罰金がそんなに重くないからな」
「へぇ…知らなかった」
「ま、多少逃げられても仕方ない、殲滅できれば御の字だってかんじでやろうぜ」
「そうだな。じゃあ日没行動開始だな」
「交代で一応入り口を見張っとこうぜ」
「そうだな。お前は偵察で多少疲れただろう。先に休んでいいぞ」
「さんきゅ」
よし、一段落だ
とりあえずは魔力の回復に専念しよう
多分、ヘンゴには言わないほうがいいだろう
本来なら、こんな巣はすぐさまギルドへ報告すべきだ
音のでる石を使った外敵への警戒、物見櫓をおとりとした監視体制
ここら一帯には知性のある魔物はいない。こんな監視、普通ゴブリンは思いつかない。必要ないからだ
それでもやっているということは、多分、相当頭のいいゴブリンがいる
それも、人への侵略を視野にいれている
やっと次回で戦闘ですよ!やった!
ちなみに、ふと思い立ったので時期別のレン君ののテーマ?みたいなものを書いときます
転移前・たまに「ちょっと変わってるね」といわれるけど、分類するなら一般人
例えると納豆入りの割とおいしい鍋
香りを嗅いだ後・ほら、狂ってるでしょ?やばいでしょ?と周りにアピールするかのような、創作物にてよく描かれるような狂人
例えるとバズりを狙ってやばいもん入れまくったyoutube企画での闇鍋
狂気との共存時(現在)・一見普通だけど、なんか狂ってる。本能的にやばいと感じるけれど理性で考えると普通。背筋が少し冷たくなるような、人の受け入れがたいもの
をマイルドにしてギャグに落とし込んだ人
例えると未知の食材だらけで気持ち悪いけど鍋とわかる異星の食物




