2話 壊されたテンプレ
薄緑の光に包まれていき、浮遊感を感じはじめる。
周り全てが光になり、一瞬みんなの叫び声が途切れた。その後光は弱くなっていき、みんなの声もだんだん大きくなってくる。
やがて、光が全てはれた時、俺たちは大きな石造りの建物の中にいた。周りを武骨で明らかに日本人じゃない兵士達と妙なフードを被った人達に囲まれて。しかも足元にはあの魔方陣。
全くもって意味のわからない状況下である。みんなはパニックになった。もちろん俺も。
「なんだ…なんだなんだなんだなんだ!?」
「どこだここおおお!!!?」
「こっちに来るなあああ!」
「うわあああああああ!」
因みに二番目は俺だ。叫んじゃったのは不可抗力だ。怖いんだからしょうがない。
しかし、そんな騒ぎを向こうは不快に感じたらしい。豪奢な服に身を包んだ一人の肥満体型な中年のおっさんが前に出てきた。
「静かにしたまえ!!!」
まさに鶴の一声だった。
気圧されて思わず黙ってしまう。それはみんな同じだったみたいだ。
それと同時に恐ろしいほどのプレッシャーを感じはじめる。思わず冷や汗がたらり。
そんな様子を見てますます不機嫌になったようで、ふんっ、と鼻を鳴らしながらどこかへ行ってしまった。兵士達の態度を見る限り、おっさんは結構偉そうだ。
やばくね?これ、まずくね?
と、フード被ってる人達の中から前へ出てきた人が一人。体格的には女性っぽい。
「すみません。皆さま。彼に悪気はなかったのですが…
とりあえず、事情を説明しますので付いてきてくださいますか?」
付いて行くしかないよな。
どうやらこの女の人も身分が高いらしく、先ほどの兵士の中でも装備が見るからにすごそうなのを二人後ろに侍らせている。
なら、逆らえない。
と、彼女は振り返ってこちらを見る。
…おお、心が急に落ち着いた。さっきのプレッシャーとは真逆だな。やっぱりスキルとかだったりするんだろうか。それともただのカリスマかな?
てか、ここどこだろ?魔法陣とかあったし周りの兵士の人種も明らかに違うし日本じゃないかもね。むしろ日本だったら俺は顎を外す自信がある
「ここは、異世界なのかなあ。」
心に余裕が出てきた俺は思わず呟いた。
「そうじゃないかしら。」
反応され慌てて振り返る。そこには委員長がいた。
説明しよう!
委員長こと花丘 菫は美人でありながらうちの学校にある二つののハーレムのどちらにも属していない貴重な存在だ。なので一部の生徒からは女神と呼ばれている。ファンクラブも存在しており俺はNo.24だ。
よくぞ私めに話しかけてくださった!
「こんなテンプレだったら嫌でもそう思うわよ。」
「ハハ、確かに。でも意外だな。委員長こういうのは知らないと思ってたから。」
「あら、結構好きよ?ゲームとかもするし。」
「へぇ、そうなんだ。」
あんまり隠そうともしてないのに俺がこの情報を知らないとは…さてはアイツら、秘匿してやがったな?
ガシャン、という音が響く。
流石に気を緩めすぎたか。兵士達が威嚇しているな、早く行かなきゃ。
「委員長、もう行こうぜ。」
「ええ、そうね。」
っとと、足が何かにぶつかったな。なんだこれ?
思わずそれを拾い上げた。
もしこの時、俺がこれを拾わなかったら、もしくは気づかなかったら、これから先は周りに流されていっただろう。主人公の影に隠れるモブの一人だった筈だ。
しかし俺はこれを拾った。拾ってしまった。
この瞬間、俺の運命の歯車が回り出すどころかまるごとぶち壊された。
そこにあったもの、それは………
俺の手のひらの上でピクピク蠢く黒い海老だった。
ブラックタイガーのタイガーってどういう意味なんでしょう?
虎要素があまりなさそうだけれど
いや普通に考えて模様だろ
俺は馬鹿か