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精霊戦記フルミニス  作者: 師走
第三章 水の精霊
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VSアクエリアス 2

 着替え終わった二人は、それぞれのコックピットに乗り込んだ。


『今回は、バーチャルシミュレーションモードでの訓練よ』


 バーチャルシミュレーションモードとは、精霊とパイロットが仮想で戦っている状況を再現する機能である。市街地や森、海岸など、様々な地形での戦闘を再現でき、これまで戦闘した全ての喰精(コメル)と戦える。


喰精(コメル)との戦闘訓練には一番効果的なのよ』

「普通の訓練じゃできないからな」

「天宮君」


 すると、モニターに瑞希の顔が表示された。


「何だ?」

「あのね、知らないかもしれないけど、私はあなたより年上……まあいいわ。今から私達と勝負しなさい」

「何故だ?」

「いい? 私とあなたはこの成田を守るパイロットよ。ここは対喰精(コメル)戦の防衛の要、だから霊子駆動(スピリット・ギア)が二機配備されている。それはわかってる?」

「ああ」


「同じ場所を守ってるってことは、連携を取ることも当然ある。その為に対人軍事演習。対戦でお互いの癖を把握するのよ。仁とは何度も対戦しているわよ」

「だが、霊子駆動(スピリット・ギア)が相手だと訓練にならないんじゃないのか?」

「別に喰精(コメル)相手じゃなくても大丈夫よ。人型の奴だっているし、魔法による攻撃を対処する訓練にもなるわ」

「そうなのか……分かった」

「じゃあ、待ってるわよ」


 通信が切れて、モニターは再び真っ暗に戻った。


「さて、始めるか」


 フルメルの指示通りセットされたエルフォンを操作する。

 すると、モニターには海岸が映し出された。


 どこかの島のビーチがモチーフなのだろう。砂浜の向こうには濁り一つない青い海がどこまでも広がり、逆側には森が広がっている。


 そして、砂浜の上には一機の霊子駆動(スピリット・ギア)が立っていた。

 フルミニスよりも細いフレーム、脚は槍のように鋭く尖っており、そこに取り付けられた円柱形のタンク、さらに両腕と背部にも同様のタンクが取り付けられている。


『このステージを選ぶなんて、あの子も相当意地が悪いわね』

「水無月がか?」

『いいえ。多分ここを選んだのはウンディーネよ』

『天宮コウ!』


 すると、目の前の霊子駆動(スピリット・ギア)、アクエリアスがレイピアを構え、フルミニスに向ける。


『覚悟なさい。あなたはわたくしの剣の錆となり、ここで果てるのです!』

「……バーチャルだよな?」

『細かいことはいいですのよ!』


 当の被害者たる瑞希よりも、ウンディーネの方がご立腹の様子だった。


『まあ落ち着きなさいよ。ルールは決めた方がいいかしら?』

『当然。決闘のルールはわたくしが決めさせていただきますわ。先に相手を再起不能にした方が勝利。以上!』

『あってないようなものじゃない……』

「大丈夫なのか? これは」

「天宮君。言っておくけど、私もさっきの事を許したわけじゃないから。仕事に私情を挟まないだけで。あなたに何言っても無駄みたいだし」


 最後にボソッと発せられた言葉を、コウは聞かなかったことにする。


『それでは……始めぇっ!』


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