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プロローグ

 〝天照の神のような笑顔の我が娘よ

 儂は今悲しみに更けている。

 毎日の習慣であった文が届かなくなり、運び手は何も告げず、これは最早何らかの口封じであると勘づくには時間をかけずとも理解しえ、

 いても………………居ら………………急………………元………………辿り……!(あまりの乱文につき、ここだけ解釈可能)〟


「トイウワケダ」

「と言う訳……ですか」

 普段ならこのような同意を求めたりはしない頑固者がいて、普段なら勝手な発言ばかりの頑固者を否定している私が簡単に納得する。

 剣が交わる戦地で戦わなければならない状況に於いても戦う、戦わないで揉める二人が互いに意見を一致させたのはただの一枚。

 序盤の悲観めいた文は一瞬。その後は怒りに任せた殴り書きの如く書きしめられており、その大半は読むことができなかった。けど、こうなった場合この後何が起きるのかを私たちは知って言る。

「奥方ハ笑ッテ『よろしくね』ダソウダ」

「母上ぇぇぇー‼」

 この手紙はカムシンが母上から譲り受けた物であり、これが普通に配達業者さんから届かなかった理由は安易に予想ができた。ついでに言うと母上の反応も容易に分かった。

「こうなった以上は諦めざるをえませんな。今のうちに宥める術を考えておくべきでしょう」

「うぅぅ……!」

 老師は諦めていながらも、落ち着いた口調で語る。それに若干癇癪を起こすも現状は何も変わらない。

 ブラムハムの言う通りで、何か言い分を考えなければならない。下手をすると戦争が起こるかもしれない。これは比喩でもなんでもなく本当の戦争だ。

 去年の夏は何不自由の無い夏で、来年も不変である――と信じていた。

 その未来は数カ月前に崩壊し、これから新たな崩壊が訪れる。

 ここ一週間以内。いや、下手すると数日で現れる。

 私の生活。

 ヘイワ街の平穏。

 それらを脅かしかねない暴君。

 元カムシンの主であり、ヨミガエルの物資調達をで担う存在。



 そして――私の父上でもある、

 志田源十郎が。


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