第3章-2 アイドルへの裏切り
練習はほどなく終えた。
そもそも練習と言う名の下見、下見にさえなっているか疑問の物だったが、それを終えて私とアーチェは大ホールを出た。勿論それを惜しむ声はない。
「アーチェさん。何で皆冷たいんですか?」
普段は暑苦しい存在ではあるが、ここまで冷たいと逆に悲しくなる。
一体何が原因でここまで心変わりしたのか。彼らが2-Dにやったようにトレイシーさんが彼らを何かで買収したのだろうか?
「恐らくディーナだろう。ディーナがこの戦いを面白くしたいからタナカに提案したに違いない。さっきディーナのことをタナカがうっかり漏らしていたからな」
「ディーナさんですか……」
私よりも一足先に、いやそれを余計に乗り越えてディーナが私に不利な条件を押し付けてきた。
「てか、これってディーナさんが罰ゲーム考えるんでしょ! 負けさせてこの前の館に来た時のリベンジする気なんでしょ!」
「そんなことは――あるのか?」
「今間がありましたよね!」
絶対この人も勘づいてますよね!
「こうなると不利になるのはメリアスだな。互いに美少女部に客層がいた同士、一般生徒を取り込むには普段通りのやり方じゃ来てくれない。一般客も来てくれるように考えないとな」
「それってどうやればいいんですか……」
「それを考えるのがメリアスの仕事だろ?」
「そうですけど! 無理難題ですよ!」
今までディーナの企画に沿って動いていた私が企画を考えなくちゃいけないこと自体きつかったのに、今度は今までに考えたことの無いジャンルから何か考えなくちゃいけない。知識のない私にとってそれがどれだけ辛いことかは言うまでもない。
「アーチェさん本当にいい催し物無いんですか?」
「射的かメイド喫茶――」
「つい最近聞いたワードですよねそれ!」
どっちも万人受けするような物じゃない気がしますね!
「こうなったら全員招集で情報を提供してもらうしかないじゃないですか⁉」
「自分で調べる気は無いんだな……」
ネクロマンサーは他力本願がもっとうですから!
その日の残った時間で、急遽ディーナ以外の当たれる人間を当たることにした。
けど、クリスもカトリナもミクシェもそれぞれの役職があり、話を聞いてもらえる時間が無かった。
アイドル射的と言う謎の案も浮かぶには浮かんだが、混ぜても混ぜても分離してしまうこの案は思考の片隅で邪魔するばかりで、結局その日は何も思い浮かばなかった。
事態は急変し、最悪なまでに悪化した。




