表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界おっさん、日本転生して「魂の仲間」を再結集 ――誰が俺の嫁かわからなくなったし、好き勝手に生きるわ!  作者: 猫目少将@「即死モブ転生」書籍化
07 絶望パーティー、福引大当たりで大波乱?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/63

07-3 陽菜の怪我が導いた波紋が……やがて世界を揺るがす

 陽菜の怪我は、左足の腓骨ひこつ骨折だった。二か所折れている。学園近くの一文字ファミリーの病院に移送して、緊急入院させた。


「思音、あんたどう考えてるのさ」


 手術室の前で、あかねが俺を責める。


「俺のせいだ。悪かったと思ってる」

「あたりまえじゃない。陽菜がドジなの、知ってるでしょ。だから止めたのに」


 瞳が怒りで燃えている。


「あかねさん、声が大きすぎますよ。ここ病院っ」

「空は口を挟まないで。あのでっかい岩見たでしょ。陽菜がもし……もし、し、死んでたら、あんたどうするつもりだったのよ。この世界でも全員で協力して暮らそうなんて、よくもちゃらちゃら口にできたものだわ。それでもリーダーなの」

「すまない……」

「もういい、バカッ」


 肩を怒らせたまま、あかねは足早に廊下を歩み去った。


「……あんまり気にしないで」


 ルナが、俺の肩にそっと手を置いた。


「あかねも、本心からあなたを責めてるんじゃない。魔物でもない偶然で自分たちが傷つくって改めて突きつけられて、動揺してるだけよ」

「そうそう。アカネ、両親の復讐心で、ぱんぱんに膨れてたじゃん、絶望パーティーでの旅の間。それで暴走してパーティーを危険にも晒したし、自分も死にかかって」

「絵里……」

「でも、そうした危険には理由があった。かたきを討ち、世界を救うための代償だもの。だから死んでも良かった。彼女も、あたしたちも」

「……そうだな」

「でもこの時空では、全員ただの一般人じゃん。ちょっと技は使えるけど。……運悪く酔っぱらいの車にはねられただけで死ぬ。なにかを救うなんてご大層な大義もなく、ただの犬死に」


 空が、背後から俺の体に腕を回してきた。


「大丈夫です。私たちは、そんな平和な世界を望んだんじゃないですか。ご主人様と一緒なら、空は幸せです」

「……ありがとう」

「それより陽菜よ。医者が言うにはボルトで留めて入院だってことだけど、どのくらいなのかしら」

「そうねえ……。一か所ならすぐだろうけど、二か所だとねえ……」


 絵里は、くしゃくしゃと髪をかきむしった。


「ま、二週間くらいじゃないの。そんで松葉杖が二週間。あたしもドーピングするし」

「絵里、頼むな」

「任せて。毎日見舞うから。その代わり、夜は思音のアパートに泊めてよ。寮より近いし。帰るの面倒だしさあ」

「……いいけど」

「えへっ思音は今、あたしに逆らえないもんね」


 上機嫌で俺の腕を取った。


「だめでしょ絵里、あなた『陰の寮長』なのに。教師が半月も男子生徒に押しかけ同棲なんて、大スキャンダルじゃない」

「だから、そこんとこはルナがごまかしといてよ、一文字の力で」

「仕方ないわねえ……」


 ルナが腰に手を当てた。


「……いくらなんでも私がそんな長期に思音のところに泊まったら、父に殺されるし。私はアパートにたまに行く程度にしておくわ」

「きゃーやった……」


 野望に燃えるセクハラ教師は、小声でガッツポーズだ。


「それでは、私がずっと泊まります。ルナさんの代わりに監視役として」

「……空、あんた、ジャマーだよ」


 絵里が渋い顔になる。


「だってご主人様だし」

「それ言えば、なんでも許されると思ってるだろ。それ、ガキのとんでもない勘違いだからね」

「決めましたから」

「ちぇーっ。結局こうなるのか。がっくりだわ」


 絵里は溜息をついた。


 俺も、これですべてが終わったと思ってた。……だがそれは、世界を揺るがすほどとてつもない勘違いだった。なぜなら――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ