働くおじさん第4話
不:今までで、一番印象に残っていることを教えてもらえますか。
鳥:そうやなぁ。2007年から2015年にかけて、摂津市の四ツ井倉庫というところで働いとったんや。
不:やはり物流ですか?
鳥:うん。物流倉庫やったな。
不:どんなものを取り扱っていたんですか。
鳥:オフィスで扱う商品全般やったな。コピー用紙から、インジェクトリボンから、文房具なんでも、電子部品から、コーヒーなどの飲料から、なんでもやな。
不:その倉庫ではどのような作業をされていたんですか。
鳥:おれが入社した最初は、ピッキング作業やっていた。
不:ピッキング作業を説明してもらえますか。
鳥:ベルトコンベアに乗せられたコンテナがラインに沿って流れてく。ピックというのは指先で取り出すことからいわれてるんやけど、お客さんから注文を受けた商品とその数を、コンテナに詰め込んでいくんや。そして最後に梱包して流すっていう作業やった。
不:それを約8年間されていたんでしょうか。
鳥:いや。08年の後半くらいに、梱包に移動となった。
不:なにか理由があったんでしょうか。
鳥:うん。その年の3月に、かなり大量の自主退職があってな。
不:自主退職?
鳥:うん、そうなんや。当時いた課長への反発が頂点に達して、リーダーやらベテランスタッフもごっそり退職するということがあったんや。
不:理由はなにか、あったんでしょうか
鳥:まぁ、簡単に一言でいったらパワハラやな。パワハラっていっても、そんな法に極端に触れるようなことやないで。ただ課長もまたずいぶんきっつい言い方しよるから、リーダーたちも耐えかねてやなぁ、辞めてもうたんや。
不:それで梱包の部署の人たちもずいぶんやめてしまって、ピッキング作業から梱包作業へと移ったと。
鳥:まぁ、そういうことやな。
不:馬尻さんも、同じように?
馬尻は首を横に振った。
馬:いや、ウチは鳥さんとは別のところでピッキングやってた。
不:また別なんですか?
馬:そう。DPSっていうところ
不:DPSっていうのはどんなものなんですか?
鳥:DPSっていうのはデジタルピックングシステムの略で、棚にランプがあって、ピックの指示があると、そこが光り、数字を指示してくれている。だからひとつひとつのピックはだいぶ楽やけど、その代わり、行数が多くて忙しいんや。
不:そうなんですね。それで十尻さんはずっとDPSにいたんですか?
馬:いや、そうやない。