第1話 カレー大好き♪きょうこちゃん
「おーいしいぃ♪」
スプーンで一口すくって、きょうこは満面の笑みを浮かべた。
きょうこの通う小学校の今日の給食はカレーライスだった。カレーライスは生徒たちにも大好評で、きょうこのいる5年2組でも、多くの子供たちがおいしいおいしいと舌鼓をうっていた。
カレーが大好物なきょうこには、なによりのご馳走だ。
「きょうこってホント、カレー好きだよね~♪」
大の仲良しの舞が、隣の席から笑顔で語りかけた。
「うん♪ だってあたしんち、カレー屋さんだもん♪」
「でも、いつもカレー食べてるんでしょ? 飽きちゃうんじゃないの?」
「ぜーん然! 毎日カレーばっかりってわけでもないし、たとえいつもカレーでもきっと大丈夫だと思うよ♪」
パクパクとうまそうにカレーを小さな口に運びながら、きょうこは嬉々としてこたえた。
「じゃあ、今度の家庭科の授業はきょうこちゃんにおまかせだね♪」
舞の反対の席にいる、日本とドイツのハーフのエリスが話しかけてきた。
「たしかみんなでカレー作って食べるんだよね♪ カレー命のきょうこちゃんがいれば、美味しいの食べさせてくれるんだろうなぁ♪ 楽しみ~♪」
ぎくっ!!
きょうこの手が一瞬止まった。が、
「まーかせなさいっ♪ 美味しいカレー、みんなで食べようね♪」
笑顔でこたえたきょうこだが…。その笑顔はどこかぎこちなかった──
(あたし…食べるのは大好きだけど…カレー作ったことないんだよね…。どぉしよう…)
大好物のカレーの味も、舌の上でなんとなくぼやけてしまうくらい上の空で、きょうこは自慢の長い黒髪をいじりながら、思案に暮れるのであった──




