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僕の運が加速的に無くなっていってしまっています  作者: 現実↓逃避
こうして僕はバイトを始めました
6/6

望まぬ再開と救出1

 片岡 力の名前を聞いて、僕の脳裏に浮かんだのは、高校の時に友人だと思っていた元同級生のうちの一人に、そんな名前の奴がいた気がする。そして、僕のことを最初に化け物といった人物でもあったきがする。

「どうよ、思い出したかよ」

 片岡がニヤニヤしながら聞いてくるが、

「ごめん、どちらさまですか?片岡なんて人知りませんよ」

 おちょくることにした。


「ああ?てめえの同級生だよ忘れたわけじゃねえだろう」

「すいません、ほんとに誰ですか、僕は自分の知らない人に誘拐されてるんですか」

「だから二年の時の同級生の片岡だよ」

「ほんとに覚えないんですってば、どこぞの片岡さんなんですか」

「だから、高校二年の途中で退学した片岡だっつってんだろ」

 そこまで勢いで言ってしまったことに途中で気が付いたのか、あわてて言葉を切る片岡だが、もう僕はしっかりと聞いてしまった。


「思い出しましたよ、確か僕のことを化け物と言ったところに、当時快く思われていなかった教員に見つかり、哀れにも出された大量の課題が終わらず学校を自主退学した愚かな愚かな片岡力君ではないでしょうか」

 僕はニヤニヤしながらそう告げた。

「あー、こんだけインパクトある人は中々いなかったのに何で忘れてしまったんでしょうかね」

「お前絶対覚えただろう」

「あなたは高卒だといっていましたが、中卒だったんですね」

「え?高校まで行ったから高卒じゃねえの?」

 やっぱり片岡はバカだった。僕の脳筋であるという見立てに間違いは無かったんだ。そんな片岡にたいして、女王がため息を一つ吐くと、

「バカだバカだとは思っていましたが、ここまで行くと素直に感心するしかないですね」

 片岡は関心という言葉を耳にした瞬間に照れたように頭をかき始める。

「おいホモ、それは褒め言葉じゃなくて皮肉だぞ」

「ふざけんな、誰がホモだコノヤロウ」

 片岡は息を荒げてそこらへんに積んである木の箱を思いっきり蹴って崩し、それを女王に厳しく指摘されてまたしょんぼりとしている。始めの明らかに悪役の空気を出していた彼はどこに言ってしまったのだろうか。




「そろそろ受け渡しの時間ですね。片岡君で遊んでいると、どうにも時間の流れを早く感じてしまいますね」

 女王の隣りでは片岡がぐったりとした様子で座り込んでいる。あの後も苛烈と言っても差し支えないぐらいの猛攻を片岡は受けていた。そんな彼に冥福を祈る。

「マジで勘弁してください、後てめえも何に対して祈ってやがる」

「もちろんジブンノウンメイニタイシテダヨ?」

「棒読みっぽいしゃべり方がなおさら腹立つ!」

 片岡は自分の頭をガシガシた掻き毟る。


「片岡、捕まってる僕から一つアドバイスをさせてくれ」

「なんだよ」

「金髪にした上に、頭を掻き毟る。今からそんなに頭皮にダメージを与えてたらすぐに禿げちゃうよ」

「確かにそうだな」

「お前らのせいだよこんチクショウ共があああ!」


 落ち着いたのか、余裕を取り戻しただけなのか、片岡が、

「とにかくお前は引き渡されるんだ。そこでどんな扱いをお前が受けるのか楽しみでならないぜ」

 そう言うとまた下品な笑い声を発し始めた。しかし、あの有様を見ると悪ぶっているようにしか思えなくてついうっかり頑張って走る孫を温かい目で見守るおじいちゃんのような目で片岡を見てしまった。


「おい、なんだよその目、マジで腹立つ野郎だなこの化け物が」

 そのとき、外から複数の車のブレーキ音が聞こえた。どうやらとうとう来てしまったようだ。これから僕はどうなっちゃうんだろうな。多分弾除け要因とかに使われるんだろうな。


 ドアの前まで複数の足音がする。僕の引渡しにこんなに人員は必要なんですかね。二人の方を見るが、二人も訝しげな表情でドアを見ている。女王――――結局本名は聞けなかった――――は腰の辺りに手を添えているが何か武器のようなものでも持っているのだろうか。


 ゆっくりドアが開いていく。そのドアの向こうにいたのは響子さんだった。

 やっぱり無理やり自分のものにするためにこんなやつらまで雇って僕を誘拐したのか?やっぱりみんなやること変わらないじゃないか。


「あなたたちは誰ですか?引き取り人は確か私達の上司だったような気もしますが」

「上司の雇った人員だったらそれを証明できるものを出しやがれ」


 いい加減にしてくれ、僕は物じゃない、僕の意思を無視して勝手にいろいろするのをやめてくれ、僕は独りで生きたいんだ。


「私は三日月さんを助けに来たものです」

 響子さんがそんなことを言う、そもそも僕が拉致されたことをどこで知ったんだ?ふと、響子さんのかげになってよく分からなかったが、凜ちゃんの姿が見える、どうやら彼女が響子さん達に伝えたみたいである。僕の姿を見つけたのか、パァっと花が咲いたかのような笑顔を浮かべると僕に向かって、手をブンブン振ってきた。なにあの笑顔、可愛すぎるんですけど。


「なにお前、ロリコンだったの」

 片岡がドン引きした表情で僕を見てきたので、

「たとえ僕がロリコンでも、重症なホモでゲイの片岡君より全然ましだと思うな」

 わざと大きな声で言ってやった。


「お母様、ホモってなんですか?」

 向こうでは凜ちゃんが、無邪気なうえにまぶしく思えるような笑顔で響子さんにさっき僕の発した言葉の意味を尋ねている。

「まだ凜には早いわ、しいて言うなら絶対に近づいてはいけない、軽蔑するべき存在ね」

「わかりました」

 凜ちゃんの笑顔がほんとにまぶしい、そんな笑顔を浮かべながら、片岡と少しづつ距離をとっていく。片岡はもう泣き出してしまいそうである。


「ロリコンもホモも五十歩百歩ですね。だからロリコンも軽蔑するべき存在ですよ」

 女王がとんでもない爆弾を投下してくれました。ええ、ほんとに。


「お兄ちゃんはロリコン?なんかじゃないもん、一緒にシャワー浴びようって誘ったら乗ってきたけど、きっと手の届かない所を洗ってくれる気だっただけだもん」

 なんでみんな爆弾投下するんだろう。

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