表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/21

   忍の一日。

 しかし、顔を真っ赤にして私をじろじろと見ているではないですか。セクハラですよ!


「貴様ァ!!」


 プラスチック手裏剣を投げ放つ。刃(何度も申し上げますが、プラスチックです。銃刀法違反になりますから)は弧を描き宿敵のでこっぱちにクリティカルヒット!


「え、嘘でしょ…」


こんなに宿敵は弱かっただろうか。かこーん!といい音を響かせてノックダウンし、そのまま後ろに倒れてしまいました。その姿に、あっけに取られましたよ。


「ああ…手を煩わせやがって」


 指をパチンとならせば、二人の下忍が姿を現した。


「この者を適当に運んでおけ。―――ああ、そうだ」


 部屋に戻り、書をしたためた。「うぶな奴❤」と。うむ、よい出来じゃ。思わず口角が二イィと吊り上った。うきゃきゃきゃッ、しめしめ。

 宿敵の元に戻り、それを体に張り付けた。


「いけ」

「御意」


 下忍は宿敵を抱えると、兎飛の術で高く飛び上がり、屋根を越えていった。


「さて、修練開始です」


 分身の術で己の分身を召喚し、修練を始めた。それはそれは過酷なものでした。己の体を虐め抜き、さらに複数の術を用いて耐久力を養うなど、くたくたになるまで一日中やりつづけた。

 いつしか、空が暁に染まり、日が傾き始めた夕刻。ポタリと汗が滴り落ち、拭うことすら無駄に思えるほどの量だった。口布を取り、上衣を脱ぐ。そして、インナーを脱ごうと手にかけて半分まで持ち上げたときでした。ふと絹のような滑らかな声が耳に届いた。


「セクシーだね、千景」

「ぬ、主様!!」


 思わぬ所で伏兵…ならぬ、主の登場です。慌てて服を戻し、すぐさま片膝をつく。ああ、なんと言うことでしょう。全く気が付きませんでした。


「修練か、精が出るね」

「すぐに去ります。このような姿で御前になど…」

「私にはいい眺めだけどなぁ」


 ポツリと呟いた。そして、草履ぞうりに足を通されると私の眼前がんぜんにお立ちになる。

 ぬぬ主様!! 今、聞き捨てならぬ御言葉を!!

 恐る恐る顔を拝顔すると、目を細めて微笑むお顔があまりにも艶やかだった。―――心臓に悪い。無駄に色気を出さないで頂きたい。


「少しは私の相手でもしてもらおうかなぁ」

「お、恐れ多くて…」


 正直、何をされるかたまったもんじゃない。前世だって、遊びと称して色仕掛けをされたこともあり…気が気じゃなかった。期待が先行して、勝手に思い込んで自爆…あああああああああ!!! 恥ですッ!! 一生の不覚です!!


「千景」

「はい…って、きゃあッ!」


 パッと顔を上げれば、主様のきれいなお顔が眼前にあった。そして、そっと手を取られ、するりと腰に腕が回る。

 ぎゃあああああああああああああああ!!

 む、無理ィィィィィィィ!! これ以上の接近は危険ーーーー!!





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ