主様と僕。
「――主様がお戻りです」
不意に主の気配を感じました。すぐさま居住まいを正し、片膝を床に落とした。すると、一分もたたないうちに紫弦様がお姿を現しました。
「お帰りなさいませ」
守屋殿と私の声が重なる。
「遅くなった。さて、守屋にお願いがあるんだけど」
「はい、何なりと」
守屋殿はなんともうれしそうなお顔で主様のお顔を拝顔している。ああ、守屋殿。そのお姿、しっぱを全力でキレよく振っているドーベルマンみたいですよ。見た目が厳つい人なだけに、なんというか。
――――違和感MAX!
「新規事業部を立ち上げるに当たり、そこの指揮をとってほしい」
「ほ、本当ですか!?」
「うん。わが社の一大プロジェクトだからね。信頼できる人でなくては。だから、よろしく」
「御意! 某、全力で殿のご期待に応えて見せましょう」
――――えっと、守屋殿は熱が入ると前世のような口調に戻ってしまうんです。一人タイムスリップごっこだと思えば、多少痛くてもスルーできます。
守屋殿は、スキップしそうな勢いで去っていく。それを温かい目で見つめている主様は大物です。
「千景」
「はっ!」
「朝、ありがとう」
「礼など不要です」
そうですよ。貴方のためなら例え火の中水の中、爆薬の中にだって飛び込んでいきます。
「私はあなたにお仕えする身。もう少し僕扱いをしても許されるんですから」
「私は、千景を無下に扱う気はない。僕だなんて一度も思ったことがないし、これからもそう。君は、私の一部だ」
ぼんッ!! と顔が真っ赤に染まっていく。心臓が、大きく跳ね上がりましたが平静を装わなければなりません。でも、でも。うれしすぎて、死んでもいいとさえ思ってしまう。
主様は、私の心を簡単にかき乱す。その笑顔…心臓がスパークしますよ。ああ、主様。お慕い申し上げております。
心の中でしか、愛の告白など叶わない。しかし、それでいい。今は、そのお言葉を頂戴しただけで十分だ。
「……主様、私はいつでもあなたの御側で、永遠の忠誠を」
深く頭を下げた。主様、私はここで永遠の忠誠と愛と誓います。一度、貴方を失った過ちを繰り返さないために、永遠にあなたをお守りします。
――――そう、心から誓った。
はいーーー! 一話終わりです! ああ、もうグダグダですねえ(笑)
こんなシチュエーションが見たいと思う方、いつでも言ってくださいね!