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   主様と僕


「う…ぎゅむう」

「きゃああああ!! 社長! おはようございますぅ!」

「押さないでください!! 仕事に戻ってください!!」


 ――忙しいと思ってたけど、初っ端からこれですか。

 今、押し寄せてくる女性社員の波を必死に抑えていた。……忍術で。大勢の人数を抑えるなど、人力では無理な話。脳内で人の波を遮る壁を強くイマジネーションし、それを具現化して、見えないけど近寄れない壁を創り上げましたが。オリジナルで編み出した術なのでまだまだ未開発。不安定なんです。

 汗がぽたぽたと滴るが、拭いたら最後、女性たちが歩くための床としての役割を果たすことになる。それはまっぴら御免のすけです。


「千景」

「ぬ…社長、先へお入りください。このままですと、あと一分しか持ちません」


 この術は、かなりのエネルギーを消費する。長くは持つまい。――それでいい。あの人さえ守れれば、根性で乗り切って見せる。


「早く!」

「紫弦、行こう」

「千景…」


 今生の別れではありませんよ。だから、そんなお顔をしないでください。ああ、そういえば。‘前’もそんなお顔をされていましたね。

 彷彿と思い返される前世の記憶のカケラ。最期の最期まで、お優しい方でした。城が燃え、貴方だけを逃がす術を発動させた刹那も。


「さて、匂い玉!」


 おおっと。感傷的になってしまいました。

 紫弦様が中に入ったことを確認すると術を解き、すぐさま近場の樹木に飛び移ると同時に忘却草を練りこんだ匂い玉を投げ放った。ボムッ!! とピンク色の煙幕が辺りの視界を覆う。

 木の上から様子を見守る。怪我人もおらず、何ともないようですね。


「ハァッ…。まだまだお仕事があります」


 主様に追いつくために、姿を消した。



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