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葵タンがデート中に男性と理解されると葵タンの男性器が激しく勃起する呪い


 日曜日。葵と飛鳥はいつもの駅のホームで待ち合わせした。ちょうどここから繁華街に出ることができる。葵は待ち合わせ15分前にはホームに立って大好きな飛鳥を待っていた。ホームには葵の他にはサラリーマンが一人いるだけだ。


「葵タン!」

「飛鳥さーーん!」


 待ち合わせ5分前には飛鳥がやってきた。みんなが振り返ってしまうほどの美人だ。こんな美人と付き合えるなんて、本当に自分は幸せだなぁ、と葵は感激していた。


「葵タン、もう早く来て待ってたのね。葵タン偉いねぇ」

「飛鳥さんと待ち合わせだから! 飛鳥さん、僕おかしくないかな?」

「ううん、今日が葵タンとの初デートだね!」


 その瞬間、葵のチンポがムキッと勃起した。


「はぐぅ!」


 葵は股間を押さえて中腰の体勢になった。なんで、なんで!? 何でチンポが勃起したの!? どうして!? 飛鳥さんの前でこんな勃起したチンポ見せられないよ! 葵はダクダク汗を流しながらベンチに座った。


「うっふっふっふ……葵タン、どうしたの?」

「いや、なんでもない……あれ?」


 葵のチンポは平常運転に戻った。飛鳥はにやにやしながら葵の頭を撫でた。


「変な葵タン、うふふ、本当に可愛いなぁ」


 葵はチンポをチラリと見た。いつものチンポだ。何で勃起したんだろう。なんで? 葵には理由がわかるワケがなかった。


「うふふ、あ、誰か来たわね」


 駅の階段からホームへ高校生のカップルがやってきた。2人は葵と飛鳥をチラリと見た。その瞬間、葵のチンポは再びムキッと勃起した。


「ふぐぅ!」


 葵は再び激しい股間の勃起に襲われた。なんで、なんでぇ!? なんで僕の股間がチンポ祭なの!? 葵は飛鳥にバレないように、愛しの飛鳥にバレないようにそっとベンチの奥に座り続けた。飛鳥はその横に座り葵に囁いた。


「葵タン、チンポが勃起してるでしょ」


 うわあああ! 葵は涙目になりながら急いで首を横に振った。


「そ、そんなことないです! ほんとです!」


 飛鳥は葵の頭を撫でながらうっとりした瞳で葵を見つめた。


「もう可愛いなぁ、葵タン、いいんだよ? お姉さんにおチンポ勃起してます、って言っていいんだよ? んー?」


 葵はぶるぶると首を振った。


「勃起してませんよ! してませ……あれ? え?」


 葵のチンポの勃起がおさまった。葵は不可思議なチンポの勃起に苦しんだ。なんでなの、なんでチンポが勃起しちゃうんだ。昨日オナニーしたのに。困惑する葵に飛鳥はうっとりしながら言った。


「ホント可愛いなぁ、葵タン、もうお姉さんイジメたくなっちゃう。まだナイショね」


 葵はその言葉でピーンと閃いた。まさか、呪い? クラスメイトに対して、チンポが勃起する呪いを飛鳥はかけてた。まさか僕のチンポが勃起しちゃうの? なんでぇ? しかしシャイな葵は「僕のチンポを勃起させる呪いですか」とは飛鳥に聞けない。


 葵が果てしなく困惑していると電車が来た。繁華街に向かう電車だ。


「さぁ葵タン、電車に乗りましょ」

「は、はい……」


 2人は電車に乗った。2人の身長は15cmほど離れている。はたから見ると姉弟のようだ。そう判断した飛鳥は葵タンの腕に抱きついた。


「せっかく何だから恋人同士のデートに見せないとね」


 その瞬間、葵のチンポはムキッと勃起した。


「はぐぅ!」


 葵は必死に中腰になる。しかし椅子は全部埋まっていて座れない。葵は壁に寄りかかりながら激しいチンポの勃起を必死に堪えた。飛鳥は笑いを噛み殺していたが、やがて限界がきた。


「っくっくっく。うふふ、葵タン、くくく……おかしい、お腹痛くなりそう、ホントのこと教えてあげる」


 葵は飛鳥のその言葉に飛びついた。


「や、やっぱり呪いですか!?」

「そうよ、呪い」


 飛鳥は葵の耳元で囁いた。


「葵タンがデート中に、男ってバレるとチンポが勃起しちゃう呪い」


 葵は完全に青冷めた。どう見ても自分は男だ。そしてどう見てもデートだ。そりゃ当然チンポは勃起するけど、なんだそりゃ!? 葵は泣きながら飛鳥を見つめた。


「なんで、なんでそんな呪いをかけるんですかぁ」


 飛鳥は涙を浮かべる葵を愛おしく抱きしめた。


「だってぇ、困ってる葵タンの顔、とっても可愛いんだもん。葵タンがイジメられるのもわかるなぁ。こんなに可愛いんだもん」


 飛鳥は再び葵の耳元で囁いた。


「今日も女の子になれる服を持ってきてるわよ。貸してあげようか?」


 葵は涙目で頷いた。


「お願いします。貸してください!」


 葵は必死に訴えた。だが飛鳥はドSだった。いや、もしかしたら葵の持つオーラが人をドSにさせるのかもしれない。飛鳥は葵の耳元でさらに恐るべきことを囁いた。


「お姉さんにお願いしてごらんなさい。『僕のおチンポがビンビンに勃起しちゃうから女の子にしてください』って」


 葵は涙目で飛鳥を見つめた。言えるワケない。そんな恥ずかしいセリフ言えるワケがない。だが言わないと、今日一日ずっとこの勃起したチンポを押さえ続けなければならない。


「あれ? 言わないの? 勃起したチンポ鎮めたくないの? 葵タンが言わないともっと恥ずかしいセリフ増やしちゃうよ? そうね『僕の変態なおチンポのビンビンの勃起を押さえるために飛鳥様に女の子にしてください』って言ってご覧なさい」


 葵はもう涙が瞳から溢れてきた。セリフがより変態気味になっている。早く言わないともっとキツいセリフになるに違いあるまい。葵は泣きながら飛鳥の耳元で囁いた。


「ひっく、僕の変態な、ひっぐ、おチンポのビンビンの勃起を押さえるために……飛鳥様に、女の子にしてください……」


 飛鳥は瞳を輝かせて葵を抱きしめた。


「んー! 葵タン! よく言えました! 可愛いなぁ葵タンは、葵タンのこと大好き!」


 飛鳥は次の駅に到着すると、勃起している葵の手をとって女子トイレに駆け込んだ。洋式便器に座らせると、飛鳥は意気揚々と葵のメイクを始める。もう何を塗られようが葵はなすがままだった。


「飛鳥さんは、女の子が好きなんですか?」


 葵はスカートをはきながら尋ねた。


「ううん。女の子は好きじゃないよ」

「じゃあ、どうして僕に女装させるんですか」

「だって葵タン可愛いんだもん」


 飛鳥はそう言ってブラジャーを差し出した。葵は困惑してそれを見つめた。飛鳥はいたずらっ子のように言った。


「あれ? 嬉しくない? 私のブラなのに」


 葵はその言葉を受け、生唾をゴクリと飲み込んだ。飛鳥さんのブラジャー、ブラジャー、ブラジャー。気がついたら葵はブラジャーを自らつけていた。


「今日はパットも入れないとね。葵タン、ウエストもアンダーも私と同じで良かった」 


 葵はたちまち女の子になった。飛鳥と共に洗面所の鏡の前に立ってみる。


「う、うわぁ……」


 葵は思わず言葉を失った。完璧な美少女が立っていた。自分じゃないみたいだ。葵には変身願望がある訳ではなかったが、奇妙な倒錯感に頭がクラクラした。


「さぁ、行きましょ」

「は、はい」


 葵と飛鳥は繁華街の電車に乗り込んだ。葵はドキドキしていたが、チンポはまるで勃起しない。


「どう葵タン? チンポは勃起しないでしょ?」

「し、しませんね。すごい、みんな僕のこと女の子と思っている、ってことですか」

「そうよ。葵タンが女の子だから勃起しないのよ」


 葵と飛鳥はゲームセンターに行ったり、洋服屋や小物屋を回ってみる。まるでチンポが勃起しない。すごい。みんな僕のことを女の子だと思ってるんだ。


 葵たちが買い物したりしてはしゃいでいると、前方から見知った顔がやってきyた。


「あら? あなたこの間……」


 葵はその顔を見て仰天した。板野さんだ。葵を激しくイジメる板野さんだ。まずい。板野さんは僕の女装の正体を知っている。板野は訝しげに葵を見つめると呟いた。


「葵……?」


 その瞬間、葵のチンポはマックスまで勃起した。


「はぐぅ!」


 突然チンポが勃起した葵を見て、飛鳥が驚いたように板野を見て尋ねた。


「あら、この子のお知り合いですか?」


 板野は飛鳥に話しかけられて動揺したように弁解した。


「いえ、クラスの男子に似てたもので……そんなはず、ないですよね……」


 飛鳥は不思議そうに首を捻った。


「男子? この子は女の子ですよ。こんな女の子らしい子いませんよ?」

「ま、まぁ、そうですよね……」


 板野は不思議そうに葵を見つめた。葵のチンポの勃起が治まってきた。板野さんが女の子と認識したのだ。葵はできるだけ女の子らしく微笑んだ。


「すみません。何か一瞬友達に見えたんで。何だかごめんなさい」


 板野はそう言うとその場を去っていった。葵は心からほっとした。だが飛鳥は心中穏やかじゃなかった。


「葵タン、どういうこと。あんな美人な女の子と友達なの?」


 葵は慌てて首を振った。


「友達なんかじゃないですよ。僕をすごくイジメるんですよ」

「ふむぅ……」


 葵は何か納得いってない表情だ。やはり知り合いに見つかるとバレる。葵は必死に知り合いから避けるように周囲を見渡した。


「そういえば、お友達と写真撮るって約束だったわよ。ちゃんと男の子でしょうね」

「はい。佐藤くんって人ですよ」


 葵はちょっとした喫茶店に入ると、ケータイで撮った写真を飛鳥に見せた。女装している葵と佐藤のツーショットだ。


「うんうん、このぐらいブサイクがちょうどいいわね」


 飛鳥は何気に酷いことを言った。


「佐藤くんは卓球部にも入ってくれたんです。おかげで一緒に卓球できましたし、授業で4人組を作れ、って言われた時も僕とペアになってくれたんんですよ」


 葵は嬉しそうに飛鳥に報告した。だが、飛鳥の表情は一気に曇った。


「4人組でペアって、あと2人足りないじゃない」


 葵はしまったな、と思いながらすまなそうに言った。


「僕ホントはいつもぼっちなんです。佐藤くんがいなかったら一人でやるところでした」


 飛鳥は浮かない表情をしている。葵にはその理由がわからなかった。飛鳥は何かを考えるように腕組みをすると葵に尋ねた。


「葵タン、もしかして、教室でも部活でもぼっちだったの?」


 葵は恥ずかしそうに俯いた。情けない。カレシがこんなイジメられっ子のコミュ障じゃ飛鳥は嫌いにならないだろうか。葵は心配だったが、そんな葵を飛鳥はぎゅっと抱きしめた。


「葵タン、可哀相、こんなに可愛い葵タンをぼっちにするなんて許せない」


 飛鳥は自分のおでこを葵のおでこにくっつけた。葵は慌てて尋ねた。


「え、えぇ? また呪いですか!」

「そうよ。お姉さんがぼっちじゃないようにしてあげる」


 葵は目を閉じた。イジメの中で最も辛いのは無視だ。それが一番怖い。それが解消されるのはありがたい。飛鳥はまたお経のような文句を呟き始めた。


「………ぼちぼっちょでつきこぬんださつつごうこれちゅくおおでてつこのなかなかどう」


 飛鳥のお経のような文句が段々大きくなる。飛鳥は大きい声で叫んだ。



「ふんだらぼっち!」



 飛鳥はそっと葵からおでこを離した。


「葵タン、もうこれで葵タンがぼっちになることはないわよ」


 飛鳥はそう言うと、小さく堰をし始めた。


「ゴホッ、ゴホッ………」


 葵はそれを見て初めて不安になった。何せ呪いだ、使えば何か自分に不幸なことが起きるんじゃないのか。


「飛鳥さん、だ、大丈夫ですか」

「うん、ちょっと風邪気味なだけ」


 飛鳥は可憐に微笑むと葵に言った。


「さぁ葵タン、買い物にいきましょ。葵タンに似合う服を探しましょ」


 飛鳥は元気良く立ち上がった。葵は不安になりながらもその背中を追いかけた。



 結局その日は一度もチンポが勃起しなかった。僕は自分が思ってるより女の子なんだなぁ、と葵はしみじみ思った。


 駅のトイレで飛鳥に化粧を落としてもらい、飛鳥とお別れすることになった。


「ねぇ、今日は葵タンの服買ったんだから次回はちゃんと自分でメイクしてくるのよ」


 葵はそれを聞いて憂鬱な気分になった。そうだ。これからデートの際は必ず女装しなくはいけない。じゃないと股間がチンポ祭だ。葵はしょんぼりと肩を落とした。


「なぁに? どうしてそんなに落ち込んでるの?」

「いや、飛鳥さんは、男としての僕は好きじゃないのかなぁ、って思って……」


 飛鳥は葵を愛おしそうに見つめると、ベンチに葵を導いた。


「え、えぇ? また呪いですか?」


 飛鳥は葵とおでこをくっつけた。


「呪いじゃないよ」


 飛鳥はそう言って目を閉じた。葵の心臓はバクンと激しく鼓動した。いいのかな、僕なんかがいいのかな、いや、これ、いいってことだよね……。葵は飛鳥の唇に触れるようなキスをした。


「葵タン、キスしたわね」


 飛鳥は嬉しそうに微笑み、ぎゅっと葵を抱きしめた。


「あーんもう葵タン可愛いすぎー! 葵タンお持ち帰りしたい!」


 葵はにやにやしてくる顔を押さえ切れなかった。葵にとって最も幸せな一日だった。



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