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 準一郎は目を見開いたまま微動だにしない。

 美香子はすぐに唇を開放して満足げに笑う。

「ふふん。これが天使のキッスってやつよ」

「な、なんだ? 今の感じ。……まさか」

 準一郎は震える手で自分の唇を確認する。目が涙ぐんでいる。

「そうだ、どうして今まで気がつかなかったんだ……」

「え?」

「俺より先にこの島にきてた人がいたんだ」

「もしかしてあたしのことが見えるの?」

「その人が死んだら、化けて出たり、そりゃするよな」

「ん?」

「てことは、今のはもしかして……」

「ちょっと?」

「幽霊って奴か? 地縛霊って奴か?」

 準一郎の目の色が驚愕から怯えへと変わっていく。

 そして……。

「うううううわああぁぁぁぁ……」

 叫び声をあげながら坂を転げ降りていった。

「うわっ、失敗! やるんじゃなかった! ちょっと! あんたホントにお金持ちならこの島に別荘でもこさえに近いうちに戻ってきなさいよ~!」

 筏に飛び乗った準一郎はものすごい勢いで水を掻いて島から離れていった。

 二度と戻ってこない気がそこはかとなくする美香子だった。

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