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そんなバナナ!

作者: アァノルド
掲載日:2026/10/24

東南アジアのどっか知らん国の、ゴミやら汚物やら口に出せないようなモノまで、まとめて捨てているクッソ汚いトコに、勝手に生えてくるバナナがある。


それが、なぜか食べると極旨らしくて、某国の闇営業している料理屋とかじゃ、黙って料理として出すらしいんだ。


それに、このバナナは使い道が広くて、コイツの筋を乾かして葉っぱにして吸うと、天国のその先の地獄まで飛んでトリップできるし、皮を乾かして粉末にしてから静脈に注射すると、自白剤的な使い方にも出来るんだ。


闇で育ったこのバナナは、闇の世界では捨てる所が無いんだよ。


そうそう!ココに招待されたオマエが昨日食べて、眠ってるトコを襲われ拘束され、さっき打たれたのは全部そのバナナなんだ。


凄いだろ?

闇で使う素材なのに元手がゼロなんだぜ?


エコだのリサイクルだの全く関係無さそうなオレたちの業界で、タダで金を生むバナナが汚物に塗れた場所から生えて来る。

オマエがもうすぐ壊れたら、そのバナナのトコに行かせてやるから、実物を拝んだらいいよ。


あー、この自白剤【そんなバナナ!】は1回しか使えないんだ。打ったら壊れちゃうから。まあ、生えてるトコが生えてるトコだからなあ・・・


オマエ、そういえば日本人なんだってな!


拷問?!いや、めんどくせえわぁ・・・。

汚れるしさぁ。。。


拷問してから自白剤を打つ?

バっカバカしい・・・今は拷問するヤツだって人手不足だし、タダでナンボでも手に入るんだから、最初から自白剤【そんなバナナ】を使った方が効率的だろ?


はあ?!オマエ、もう助からないヨ?


そうだ!日本人は効率を求めるんだろ?

それに、日本人ってバナナって呼ばれるんだよな?


ハハ、このバナナに似ててオモロイなと思ってさ。


オレも1回、東京に行った事があるけど、あんなクッソゴミゴミしたトコで暮らして、壊れるまで働いて、自分とか家族のためじゃなく、組織のために命を削るんだろwww


そんなヤツがいっぱいいて、周りを腐らせて、それでも他者のために金を生むなんて、逃げりゃイイのにwww、やっぱりオマエらはバナナだよwww


効率良く死ぬなんてww

マジでww、ウケるww


・・・・!


ハッ!と、終電の中で目覚めた彼は

【行くなら南国!人生はパラダイス!】

と書かれた中吊り広告を見ながら、降りるべき駅も通り越した己の疲労と、【そんなバナナ】の肥料になるバナナ人間の事をボンヤリ考えていた。


平和な国の自分には良く分からないシチュエーションだったが、自分への戒めであろう事は存分に感じられた。


次の日、彼は業界で有名な自分の勤め先である超ブラック企業に退職届を提出した。


内容は【一身上の都合、そんなバナナにより、くぁwせdrftgyふじこlp】と書いて出した。

どーせ見ないで破り捨てられるだろう。

アイツの言う通り死ぬよりは逃げた方がいい。


あのオレを尋問し嘲笑していた闇社会の幹部みたいなヤツは、過労死した同僚だった。

外人だったけど、一番気が合った友達だった。

外人のクセに日本人みたいに【過労死】するなんてジョークが過ぎて、泣き崩れるしか無かったな。


そういえばヤツの口ぐせは

「バナナのクセに・・・」

「やらないヨ?汚れるしさぁ」

「効率的じゃないよネ」

「そんなバナナ!」

だったなあ。


彼はヤメていたタバコを2本加えて火をつけ、1本を墓の上に置き、深呼吸するように有害な煙を体の隅々まで吸い込んで、生き返るように吐き出した。


「あれからさ、好きにヤルことにしたよ」

「会社?逃げたよ、アホくせえww」

「今は貯金を切り崩しながら、オマエが『オモシロい!』って言ってくれたホラー小説を書いて、Webに投稿してる・・」

「貯金だけはあるみたいでさ、お互い使う時間が無かっただろ?」

「あ!最近、ランキングに入ったんだ!まあ100位とかだけどさ・・・」

「まあ、ボチボチやるよ。金が無くなったらバイトでもして、好きなようにやるよ」

「・・・じゃ、また来る」


くわえタバコの煙が目に染みている涙目の自分を、懐かしい声が呼んだような気がして振り返ると、

「バナナのクセに・・・ボクより先に好きなことをやり始めるなんてサ・・・」

「そんなバナナ!」

墓石の上で肩をすくめ、死んだクセに元気な同僚の姿が見えた気がした。

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