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第3話 持つべきはユウジン



新しいクラスにテンションが上がった人混み達をどうにかする術もなく、人混みが落ち着くまで待つことを決めた俺達は、寂しく校舎裏に来ていた。


「なあなあ!!真鍋はさ!!誰と一緒のクラスになりたいんだ!?俺か!?俺はやっぱり姫井吉乃ちゃんと媛島桜子ちゃんは外せねぇよなぁ!!我が校の美人二巨頭だぜ?あんな美人が同じ年に生まれて同じ学校に来ちまうなんてよぉ!!ぜひ同じクラスになって戯れを拝みたい...。」


「何も聞いてないけどな俺。」


「照れんなよ~、女なんて興味ないぜ...みたいなキャラは中学で卒業しとけって。その方が楽だぜ?すべてを脱ぎ捨てるんだよ!」


「すべてを脱ぎ捨てた結果、そいつがクラスの女子から裏で一年間なんて言われてたか知ってるか...

?ってまあそれはどうでもいいか。誰と一緒になりたいかってそうだなぁ...」


「ちょっと待て、そのすべてを脱ぎ捨てた奴は女子に裏からなんて言われてたんだ!?」


「でも名前くらいは流石に知ってるよ。俺みたいな学内ネットワークが狭い奴でも名前を聞くってことはよほど凄い人たちなんだろうな。」


「いやいや、そんなことよりそのすべてを脱ぎ捨てた奴はクラスの女子から一体なんて言われて...、」


「確かに綺麗な女子が同じクラスだったらテンション上がるだろうけどさ、俺はやっぱり、お前と一緒になりたいな。昨年の俺はお前以外話し相手が碌にいなかったからさ。」


「真鍋先輩よぉ、俺と一緒のクラスになりてえって言ってくれるのはスゲェ嬉しいけどよ、いい加減俺以外の友達作れよな?お前、一緒にいてスゲエいおもしれえし、作ろうと思えば簡単にできるんだしさ。」


「そうは言うけどよ...、」


俺は返す言葉が見つからず、黙り込んでしまう、そんな俺を見かねて田中は優しく微笑むと再び俺の背中をバシッと叩いた。


「違うクラスになっても定期的に顔見に行ってやるよ。今度のクラスでは、誰かしら友達を作ることが目標だな!!男女問わず一人はさ!!」


「同性ですらこのザマなのに異性なんて、夢のまた夢だ...、」


「そういうなよ!!がんばりゃがんばるだけ見えてくるもんもあるさ!んでよ真鍋、聞きそびれたが同じクラスになりたい女子!いるのか?」


「んー。」


真っ先に俺の頭に出てきた女子は、今朝に出会った少女だった。例えるなら、赤薔薇のような。


まったく接点は無いが、坂上で見つけた彼女は、名前も学年も何も知らないが、彼女の風貌は俺の脳裏にこびりついて離れなかった。


「...今朝、見かけた子かな...、」


「今朝見かけた?」


「ああ、まったく接点は無い、名前も学年も分からないが坂下から見る彼女は、その...、すげえ綺麗だった...。」


「坂下ってお前...、」


引かれてしまうことを怪訝したが、それでも田中には話しておきたいと思った。俺は振り絞るように彼女のことを田中に話すと、田中は神妙な顔で驚いたような顔を見せると俺に向き直る。


「...ん?」


「パンチラがそんなに忘れられないのか?」


「は?」


「いや、完全にローアングルから行ってんじゃねえかお前。やっぱりお前はむっつりだ。」


「違うわ!!!」





――――――――――――――――――――――――――――――




校舎裏で適当に時間を潰し、再び昇降口に訪れると、ある程度込み具合は緩和されていた。


「これならクラス表を確認できるぞ!お願いします神様仏様!!かわい子ちゃんかわい子ちゃん!!!」


「お前はそればっかだな...、」


田中に笑いながらツッコミを入れつつも、俺も内心バックバクだった。先程の会話から分かるだろうが、俺は田中を除けば友達なんて言うものは一人たりとも持ち合わせていなかったからだ。


コイツと一緒のクラスにならない限り、俺はボッチの状態でスタートラインに立つことになる。去年一年田中が同じクラスにいる状態で田中以外に友達が一人も出来なかった俺は、新しいクラスで0から始めるとなると確実に友達はできないだろう。


そして気づけば俺達はクラス表の前。1組から順番に目を通していく。


苗字がマ行なため、表の下の方を確認していくがなかなか自分の名前は見つからない。


自分の名前探しに苦戦を強いられていると隣から声が聞こえる。


「うぉ!?見つけたぜ俺の名前!!3組だ!!」


悲報だった。3組は既に確認済み。現在俺は4組の表に目を通してた。


「真鍋は何組だ?」


「...4組だった。」


「惜しい!!ニアミスだったなぁ!!」


「クラス変えに惜しいも何もないだろ...終わった...。」


「まぁまぁ、話せる奴なんて時期にできるよお前なら。な?気落とすなって。始業式は午前中に終わるだろうから、終わったら残念会だ!」


友達0人が確定し、露骨にテンションを落とす俺を見かねた田中はフォローする。そう、田中は鬱陶しいが悪い奴ではないのだ。


「...ありがとな。でもいいよ、クラス変え初日は大事だろ?同じクラスの奴らと親睦を深めてくれ。」


「でもよ...」


いつも図々しい壮太には珍しいしおらしさ見せてくる。


なんだかんだ言ってコイツは、友達である俺を心配してくれてるんだな。憎めない奴だ。


「俺は俺で頑張ってみるさ。青春なんて眩しいもんになりはしなくても、それなりの学校生活にはしてみせる。」


田中にいらない心配をかけまいと、俺は難しいことを言ってのける。


「...その意気だぜ真鍋!!応援してるぜ!!そんで彼女でも作ってその友達を紹介してくれ!!」


前言撤回だ。コイツは自分のことしか考えていなかった。


でもまぁ、こんな軽口も田中なりのフォローなのかもしれない。


「...ほんとにいい性格してるよ、お前は...。」


「はっはっはっ!まぁまぁそう言うなよ!俺に可愛い彼女が出来た暁には、お前にもその友達を紹介してやるからよ!可愛い子の友達は可愛いぞ?引かれあうんだよ。能力者みてーにさ!」


と、冗談交じりに話していると、チャイムの音が校内に響き渡る。時計の見れる環境にいなかったからか、いつの間に時間が経っていたのだろう。


「予鈴だな。座席も確認しなくちゃだし急ごうぜ。」


「おう!本当なら可愛い子の名前も確認しときたかったんだが、しょうがねぇ、現地確認で手を打つか!!」


「...ほんとにそればっかだな...。」



―――――最悪のスタートラインに立たされた新太、次回、新クラス開始。

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