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【最終章】大江戸オブ・ザ・デッド〜魔法全盛の江戸で、弓しか取り柄がない私ですが兄を探してます〜  作者: 森戸ハッカ
第一章:水の段『水は道なり。行くべき先を拒まぬ』

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8. 【幕間】 ゼンリョクジャー第10話『君のヒミツに火を灯せ!』より

 ねぶたの巨大山車(だし)が変形した機械獣に、グータラン将軍が「行け、ネブター! 今日こそゼンリョクジャーを壊滅させろ! できるだけ低燃費でな!」と発破をかけた。


 人々の“全力エネルギー”を吸い取って、全人類をやる気ゼロにしようと目論む悪のダラケルド帝国との攻防は今日も白熱していた。


 ゼンリョクジャー達は決戦の地に集結していたが、まさかのネブター2号山車の登場で皆が分断されてしまう。


 ダラケルド帝国の低燃費向上技術は目覚ましく、一機分のエネルギーで複数台が稼働できるようになったのだとグータラン将軍が自室に引き篭もったままオンラインモニター越しに嘲笑った。


「くっ……! 驚きの低燃費だ! 相変わらず怠けることにかけては全力な奴らだな……!」


 即座にネブター2号のモニターを行ったゼンリョクブルーが悔しそうに唇を噛む。


 それでも全力で戦いを続けるゼンリョクジャー達。しかし仲間の1人ーーゼンリョクブラックは、突如、敵の攻撃でヘルメットが吹き飛ばされてしまった。


「きゃあ……ッ!?」


 幼い頃、ダラケルド帝国との戦闘に巻き込まれて声を失ったと言っていたはずのゼンリョクブラックが思わず、この上なく可愛らしい声で叫んだ。


 沈黙が流れた。


「え……あれ……?」


 隣のゼンリョクブルーが目を見開く。


「お前、声……女!? しかも大人気声優ココアたん♡に似て……」


 ヘルメットを付け直したブラックは慌てて背を向け、なんでもないというように手を振った。全力で。


 動揺しているのはブルーだけではなかった。だがーー


「なんか、聞こえたかッ?」


 そう言ったのはゼンリョクレッド、火神カケル。


 まるでそれが“ただの気のせい”だったかのように、首を軽くかしげて笑う。


 隣でブルーが何かを言いかけたが、レッドは片手で制した。


「それよりーー行くぞ!」


 拳をぐっと握りしめ、前に一歩踏み出す。


「燃やすぜ、俺たちの全力! 全力出さずに何がヒーローだッ!!」


 その姿に、ブラックは気づかない。


 自分の秘密が誰かに届いてしまったことをーーそして、それにはあえて触れずに受け止めてくれたことを。


 その瞬間、レッドの身体から真紅のエネルギーが爆発的に放たれた。


「限界の先、超えてやるぜぇッ!!」


 叫ぶレッドの周りに炎の竜巻が巻き起こった。


 彼はそのまま真っ直ぐ、ネブター2号を右ストレートで殴りつけた。


 拳が装甲を打ち砕き、熱と衝撃が一閃ーー


「ゼンリョククラッシュ・オーバードライヴ!!」


 その一撃は敵の心臓部を貫き、「ラッセーラ〜〜!! 次の夏は青森で会おうぜ……!」という声を残して爆発四散させた。


 煙が晴れ、静寂が戻る。


 隊の狙撃手であるブラックは黙って弓を背に納めた。


 レッドに気づかれたことに気づかないまま、頭を下げてゼンリョクトレインフォームになっていた味方ロボ「ゼノン」の元へと戻っていった。  


「おつかれ! ブラック〜!! さっき大丈夫だった? 珍しく君の声が聞こえ……やめて! 連結部分に極太い爆弾矢を刺そうとするのはやめてぇッッ!」という叫び声が微かに聴こえる。


「さ、俺たちも帰るぞ! 今日はなんか豚肉食べたくなっちゃったな」 


 レッドはあくまでも何もなかったように振る舞う。笑いながら肩を回す姿は、まるでいつもの彼でーー


 置いて行かれたブルーは「……なんで何も言わないんだよ」と、誰にも聞こえないように呟いた。


 心の中で、複雑な思いが渦を巻いていた。


 それは、秘密に気づいてしまった戸惑いか。あるいは、隠していた相手への憤りか。


 それともーー……



~♪予告SE


熱血ボイスのナレーション:


「五月病など知らないゼンリョクジャー達!

だが、安息は一瞬!

五月晴れを切り裂いて現れたのは――

走る要塞! 食って寝て増殖する!

キャンピングカー機械獣・キャンパゴンだァ!!」


映像カット:


青空を泳ぐ無数の鯉のぼり。


その影を踏み潰すように、湖畔のキャンプ場へ突っ込んでくる巨大キャンピングカー。


サイドオーニングが展開し、砲身に変形。車体の屋根には優雅に泳ぐ、鋼鉄製の鯉のぼり。


「連休は……ダラケるためにあると庶民はご存知ないのか?」


姿を現したのはダラミール伯爵。


高い位置から注がれる紅茶から放たれるヤミウイルスが、観光客たちを次々と寝袋へと封印していく。


レッドは歯を食いしばり、布団の魔力を振り払おうとする。


ブルーは震える声で叫ぶ。

「この機械獣……zzz」


ピンクは眠る子どもを庇い、全裸になったイエローが風にたなびく鯉のぼりと一緒に絶叫する。


ブラックは涙をこらえ、一本の矢に“覚悟”を込める。


熱血ボイスのナレーション:


「休んだら、負けなのか!?

いや――休んでも、立ち上がれるのがヒーローだ!!

心のエンジンを再点火しろ、ゼンリョクジャー!!」


全員:


「全力出さずに、何がヒーローだッ!!」


テロップ:


次回!

全力戦隊ゼンリョクジャー

『泳げ!鋼鉄の鯉のぼり!キャンプ場大決戦!!』



(続)


ミカドで放送されている前『ゼンリョクジャー』の一場面をお届けしました。大好きです、スーパー戦隊。ちなみにこの番組、協賛にはヨシワラグループの企業群がずらずらと並んでいるそうです。

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