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〈大葉やりいか 120円 税抜き〉
――まずはイカからいく。無難な選択ながらも、初めて大葉の付いたものを頼んでみた少し大人な私。薄いイカの下にシソが敷いてあって、緑色がかすかに透けている。ちょっとおしゃれかも。イカ二貫。ふふ。
少女はテーブルにある小箱から少量ワサビを取ってネタに載せ、更に醤油をたらしました。割り箸でお寿司を挟み、口に運びました。
――うん。普通においしい。シソが効いてる。イカにちゃんと飾り包丁(?)が入っていて、歯切れがいい感じ。120円(税抜き、以下省略)でこのクオリティ。やっぱ期待を裏切らないなあ、辰寿司! 辰寿司、フウッ! これは今後が楽しみであるなあ!
〈いわし 120円〉
次に目をつけたいわしは、細長い大ぶりの銀色のネタに、ちょこんと黄色いおろしショウガが載っていました。少女は皿を両手に取り、恐る恐るいわしの匂いを嗅ぎました。
――お父さんが「ここの寿司はコスパを考えると一番いわしが優秀だ。脂が乗っていて、生臭さが少なく、光物らしい風味がある。これで120円は値打ちがある」って言ってたの、いつだったっけ。「まあ、お前たちにはまだこのおいしさは分からないと思うけどな」って私と弟に言って笑ってたな。
少女はそう思い出しながら、いわしの皿をテーブルに置き、醤油をたらし、ぱくりと口に入れました。
――うん。脂が乗ってる。ネタが大きいのがうれしい。うん、……うん、ちょっと臭いか? 後から臭いのが来た。でもショウガが臭みを消してくれて――いややっぱり臭いぞ。
こくん、と一つ目の握りを飲み込みました。じっ、と残った握りを見つめて、それからまた口に運びます。
――ちょっとこれは……やっぱりまだ私には早かったのかなあ、いわし。でも多分もっと子供のころ食べてたら臭くて食べれなかったと思う。だからこれも経験だな。お父さんの好きなものの味が知れてよかった。……お父さん。
〈あぶりチーズサーモン 170円〉
一弾目、最後に手に取ったのはあぶりチーズサーモンです。やはり大ぶりなネタに、半液体のチーズがお好み焼きのマヨネーズのように細く糸状にかかっています。それがバーナーで炙られていて、チーズがところどころ茶色く焦げているのが食欲をそそりました。何もつけずに食べます。
少女はうんうんうんとうなずきながらあっという間にサーモン二貫を平らげました。一般の女子の例に漏れず、少女はサーモン好きです。チーズも好きです。炙ってある食べ物も好きです。だからあぶりチーズサーモンが好きです。
いわしでちょっと下がったテンションをあぶりチーズサーモンで回復し、さっき注いだ熱いお茶をすすって、第二弾を注文します。




