嫌な記憶①
担任の近藤先生は言う。
「中間テスト2週間前だぞー。勉強しろよー」
それを聞いた寺沢さんは俺に話しかける。
「テストか〜。西村くん、テストどう?」
「うーん。まぁたぶん90点は行けるかな〜」
「え!すごい!私なんて赤点かも…」
俺はずっと1人だった中学で、中学の勉強と同時に高校の予習もしていた。
当然、高得点も取れる自信はある。
一方寺沢さん、俺は知っている。
前の英語のグループワークで、寺沢さんはちんぷんかんぷんなことばかり言っていたことを。
「お、俺!テスト勉強手伝おうか!?」
「え、いいの!?」
「もちろん!」
「ありがとう!」
咄嗟に出た俺の提案、それを聞いた寺沢さんの笑顔がすごく眩しい。
そんなに嬉しかったのかな…
その日の放課後から、俺と寺沢さんとのテスト勉強が始まった。
放課後、学校の図書室や地域の図書館などで勉強をしている。
寺沢さんは思ったより勉強ができないみたい。
あんなに明るくなんでも出来そうに見えて、勉強が苦手なのは意外な一面だと思う。
テストが1週間前となった放課後、いつも通り図書館で勉強後、俺たちは途中まで一緒の帰り道を、2人で歩いていた。
「順調だね。この調子でいけば赤点の心配は全くないと思うよ。」
「ありがとね。西村くん。それにしても西村くん、勉強教えるの上手だね!」
「そうかな?」
「うん!中学生のときから友達に教えたりしてたからとか?」
中学…思い出したくない。
俺はこれまで、勉強を教えることなんてほとんどなかった。
俺に頼る人なんていなかったから…
俺には友達でさえいなかったから…
俺に頼っていた人、友達だった人は、みんな離れていったから…
「…ごめん…」
「え…?」
「私が聞いてから、西村くん、思い詰めた顔してて…」
「あ、いや!こっちの問題だから!大丈夫!」
「…そっか…」
「うん…」
それからしばらく沈黙が続いたあと、寺沢さんが口を開いた。
「西村くん…中学、何かあった…?」
「…っ!」
嫌な過去でも、そんなことを聞かれると嫌でも思い出してしまう。
嫌な記憶が全て、俺の脳の中を駆け巡る。
まるで走馬灯かのような。
死にはしないけど。
いやそんなのどうでもいい。
俺は視界が真っ暗になった。
中学の時、クラスの女子に言われた一言を思い出した。
『あんた、最低ね』
それからクラスの全員が俺と目が合うたびするようになった、嫌な顔。
そして、小学校から仲良かった親友、亮…
「…くん…!西村くん…!西村くん…!」
寺沢さんの呼びかけに、俺は我に帰った。
「ご、ごめん、ちょっと俺具合悪いから先帰るね。」
そう言い残し、俺は1人で走り出した。
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このまま突き進みます!




