時間
霧宮と俺は、公園のベンチで隣り合わせで座っていた。
そして俺は口を開く。
「寺沢さんと付き合ってるけど、付き合う前とあまり変わらなくて、どうしたら良いのか悩んでてさ。」
寺沢さんと付き合ってから3週間。過去に付き合うという経験をしたことがない俺は、付き合ってからもあまり変わらない現状に悩んでいた。
「そういうことあるよな〜。」
「うん。どうしたら良いんだろう。」
悩みに悩んだ結果、とりあえずは霧宮に相談しようと思い、今に至る。
「まぁでも、無理に今までと変える必要はないと思うけどな〜。」
「え?」
予想外の返事だった。変わらない現状に、どうしようどうしようと頭を抱えていた自分にとって、それは考えもつかないことであった。
霧宮は再び口を開く。
「だってさ、西村と寺沢さんの関係ってさ、付き合う前からめちゃくちゃ良い関係だったじゃん。正直あれで付き合ってないのまじかよって思ってたよ。」
「そうなんだ……。」
「意識してないとは思うけど、西村には無意識的な優しさというか、自然な優しさがあると思う。2人の話してる姿を見てずっと思ってたよ。とりあえずはそれだけで寺沢さんは十分嬉しいと思うよ。」
「そうなのかな……。」
「そうだよ。」
確かに、俺は自分が優しいだなんて思ったことなかった。でも、実際に優しいか優しくないかは別として、霧宮がそう思ってくれるなら変える必要はないのかな。
「あと、前に俺、苗字で呼び合ってることについて、男を見せるべきじゃないかって言ったと思うけど、もし悩んでたとしたらごめんな。冗談のつもりで言ったんだ。今はそのままでいいと思う。呼び方なんて関係ないと思うよ。」
「そうなのか。」
冗談だったんだ。結構悩んでたけど、霧宮が言うなら……。
「今悩んでたとしても、それはやがて時間が解決してくれると思う。だから心配するなよ!」
「わかった。ありがとう。」
その後、俺たちは解散して、そのまま家に帰った。
夜になり、自分の部屋のベッドで横になりながら、改めて考えてみる。
『やがて時間が解決してくれる……か……。』
霧宮、俺と違っていつも明るくてちょっとバカっぽいところもあるけど、真剣なときの彼の言葉は、こんなにも響く。
『霧宮はかっこいいな……。』
相談して良かった。とりあえずは敢えて現状を変えようとはせずに居ようと思う。そして自然と少しずつ変わっていけば嬉しい。
そんなことを考えながら俺は自然と瞼が閉じていき、眠りについた。
次の登校日となった。俺は、寝坊した。
全力ダッシュで学校へと向かう。
息を切らしながら、学校に着いた。靴を履き替え、教室に足を一歩踏み入れた瞬間、ホームルーム開始とチャイムが流れた。ギリギリセーフだ。
「っぶね〜!」
席に着き思わず口から出た一言。
ふと寺沢さんの方を見る。寺沢さんは、少し笑いながらこちらを見ていて、口を開いた。
「おはよ。西村くん。」
「おはよう。寺沢さん。」
「危なかったね。昨日遅くまで通話してたからだよ〜。」
そう。実は昨日の夜、寺沢さんと通話をしていた。しかし、通話が楽しくてなかなかやめられなくて、寝たのは3時だった。
「でも、寺沢さんは起きれたんだね。」
「私、朝目覚め良いんだよね。目覚ましがあれば基本的に起きられる。」
「そうなんだ。」
しかし、通話、楽しかったな。
色々話したっけか。俺は思い出す…….。
何話したんでしょうね。次回きっと深掘りすると思います。




