表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君は僕の光となって 〜孤独の僕と優しい君〜  作者: ななどり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/32

名前

 寺沢(てらさわ)さんと付き合い始めてから3週間が経とうとしていた。

 付き合ってから大きな変化があったかといえば、そうでもなかった。

 学校に行ってこれまで通り授業を受け、イツメンと話したりして過ごし、放課後は寺沢さんと一緒に下校。

 あまり変化がなかった。


 『こんなに変わらないものなのかな……。』


 授業の合間の休み時間、俺は窓の外を眺めながら1人でぼんやりと考えていた。


「なぁ西村(にしむら)。」


 トイレに行っていた霧宮(きりみや)が戻ってきて、俺に話しかけてきた。


「ん?」


「ふと思ったんだけど、西村と寺沢さんってさ、付き合ってからも苗字で呼び合ってるよな。」


「確かに……。」


 言われてみればそうだった。

 というか、苗字呼びで定着しちゃっていて、気にしていなかった。


「……男を見せる時じゃないか?」


「え?」


 困惑していると、次の授業の予鈴のチャイムが学校中に鳴り響いた。

 

 霧宮は最後に爽やかな顔をし、左手でグッドサインを浮かべて、席に着き前を向いた。


 困惑こそしたが、言いたいことはなんとなくわかった。

 おそらく『付き合ったのだから下の名前で呼んでみては』と言いたいのだろう。

 確かに、寺沢さんと付き合ってから色々調べていて、女子は下の名前で呼ぶと喜ぶという記事を見たような気もする。


 『頑張ってみるか……。』


 放課後になり、いつも通り寺沢さんと下校していた。

 いつもの時間、いつもの通学路。

 慣れ親しんだ道なはずが、いざ苗字ではなく下の名前で呼ぼうとしているこの状況には、新鮮みがあった。

 

 『そしてなによりめっちゃ緊張する!』


 でもいつまでも苗字で呼ぶというのは、やはり不自然な気もしていて、このままは良くないと思う。


 そんなことを下を俯き歩きながら無言で考えていると、それを不思議に思ったのか寺沢さんが声をかけてきた。


「西村くん、どうかしたの?」


「あ、いや! なんでもないよ。」


 とっさに出た返事であった。


『いや今日は無理だ!』


 やはり下の名前で呼ぶことにはちょっと恥ずかしさがあり、まだ心の準備がまだできていなかった。


「そういえば西村くん、もうすぐ夏休みだね。」


「あ、そうだね。楽しみ。」


「プールとか行きたい!」


「いいね。行こう!」


「あとお祭りも!」


「行こう!」


 そうだった。夏休みが近いんだった。

 今はちょっと心の準備が出来ていないけど、夏休み中には下の名前で呼べたらいいな。

 

 そんなことを考えながら、俺と寺沢さんは話しながら下校した。


 その夜、ご飯を食べ終えて自分の部屋のベッドで横になりながら、俺は考えた。

 夏休み、寺沢さんはどこ行きたいんだろう。

 さっき言ってたのだと、夏祭り、そしてプール……。

 ここで俺は気づいてしまった。

 プールに行くということがどういうことか。


 『寺沢さんの……水着……?』


 俺がそんな貴重な姿を見てしまっていいのだろうか……。

 慣れない恋愛というのは難しい。

 いろんなことにおいて心の準備が必要になりそうで不安だけど、でも夏がちょっと楽しみになった。


 すると、霧宮からレインが送られてきた。


『今週末、飯行こうぜ』


「いいね!行こう!」


 霧宮にも色々相談したいとは思っていたから、誘ってくれて嬉しかった。

 その後、集合場所などについてやりとりをして、時間は23時半頃。


「色々楽しみだ……。」


 そうボソッと一人言を言って、俺は眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ