事実
「中学のときのストーカー、犯人は西村くんではなく僕なんです…」
真剣な顔で話があると言われ、話を聞いてみたけど、まさかこんなことを言われるとは思わなかった…。
私は困惑していた。正直、言われたことが信じられなかった。
すると西島 海斗さんはまた口を開いた。
「僕…高嶺くんと同じ高校なのですが…西村くんが女子と歩いていたって言う噂、それを聞いて高嶺くんが西村くんの元に行こうとしてるっていう話を聞いてしまって…居ても立っても居られず高嶺くんについてきてしまい、さっきの話を聞いていました…」
私は正直戸惑っていたが、それと同時に怒りも込み上げてきた。
西村くんが冤罪で辛い思いをしていたのに、なんで この人は今更こんなこと言っているのだろう。私は少し怒ったような口調で質問をした。
「どうしてここまで彼の無実を証明しようとしなかったのかな?」
「…」
彼は少し黙っていたが、すぐにまた口を開いた。
「…怖かったんです。中学1年の頃、佳奈さんのことが好きで、本気になりすぎたあまり、度が過ぎたストーカー行為をしてしまって…冷静になった頃にはもう西村くんが疑われてて…」
「…それで…?」
「西村くんが酷く責められてて、その標的が僕になるのが怖くて…結局中学卒業まで言えなくて…でも罪悪感で苦しくて…昨日高嶺くんが西村くんの元に行こうとしてるって話を聞いてから、高嶺くんには正直に伝えようと思ったんです…でも…」
「…でも…?」
「…結構言えなくて…結局不安で高嶺くんについてきてしまって…隠れて話を聞いてました…」
私は許せなかった。
「言えなかったって言うけどそれは自分の都合でしかないし、なんで犯人のあなたがここまで責められず、何もしてない西村くんが辛い思いをしなきゃいけないの?」
「ごめんなさい…」
「私に謝っても意味ないでしょ!」
私は立ち上がって感情のままに言った。
怒りに包まれて冷静さを失いかけていたが、立っている私を見ている周りからの視線で、少し冷静さを取り戻した。
確かに、後悔に包まれて、罪悪感に襲われていて深く反省している表情、そして言葉1つにも震えている感じがしていた。
「…ところで…あなたが犯人なら、なんでその時に西村くんの生徒手帳を持っていたの…?」
私はずっと気になっていた質問をした。
西村くんが犯人じゃないのなら、どうして犯人は西村くんの生徒手帳を持っていたのだろう。
するとこの人は説明を始めた。
「夏休み前最後の学校の放課後、西村くんと僕は体育倉庫の掃除を任されてたんです。2人共ブレザーを脱いで同じ場所に置いてたんです。その後掃除をして、終わって帰ろうとしてる時にまたブレザーを着たのですが、そこで恐らくお互いのを着て帰ってしまって…」
「…うん」
「それで僕は夏休み補習で制服を着て学校に来てて、その帰りに、僕が普段リュックに入れてるはずの生徒手帳が胸ポケットにあることに気づいたんです。夏休みが終わって最初の登校日で返そうと思ってたのですが…」
「その足でストーカーをして、その時に落としてしまったと…?」
「はい…そうです…」
「なるほど…気持ち悪いね。」
「はい…ごめんなさい…」
めっちゃ気持ち悪いなって思ったけど、その時から今まで反省していたのがまるでわかる態度と表情で、 私はそれ以上責める気にはなれなかった。
「…とりあえず西村くん呼んでいいかな…?」
「はい…」
西村くんを呼んだ。
15分後、西村くんが来て私の隣に座った。
そこからこれまでの話を全て西村くんに話した。
「本当にごめんなさい。」
西村くんに対して頭を下げて真剣に謝る西島くん。
「別にもういいよ。」
西村くんはそう言うと、優しい顔で西島くんを見つめていた。
「え、いいの…?西村くん。」
私は思わず聞いてしまった。すると西村くんは優しい顔のまま答えた。
「うん…責められ続けていたからもう慣れたよ…あと今更ではあれど、正直に話してくれたから俺はもう何も思わないよ…」
「そっか….」
「うん…」
「でもどうしようか…?明日…」
西村くんの無実はわかったけど、明日にその証明を高嶺くんに対してやらなければいけない。
「僕もその時、行きます。」
西島くんが真剣な顔で言う。
「いやでも…西島くんが責められかねないよ…」
西村くんはこういうときでも相手のことを考えられる。こういうところが私は好きなんだ…。
「それでも、このままは良くないと思うんです。この状況を変えるためにも、ケジメは付けなきゃと思います。いや、付けさせてください。」
「…わかった…17時にこのカフェ来てね…」
真剣な西島くんと、少し迷った素振りを見せた西村くん。
明日、どうなるのか不安です…。
前に西村くんから聞いた話、トラウマになるくらいの出来事。
そのきっかけとなった誤解を明日、しっかり解けるといいな…。
寺沢さん視点でした。
友達のために怒ることができる人って良いですね…




