気持ち
美味しいものを食べ、お土産を買って、観光をして、たくさんの思い出が出来た。
「なぁ、西村」
「ん?なに?」
寺沢さんと笹原さんが話しながら歩いている後ろを少しだけ離れて歩いてる霧宮と俺。
そんな状況で霧宮はこんなことを聞いてきた。
「西村、寺沢さんのこと、好きなのか?」
「なっ!?なんでそうなるの!?」
「だってお前今日、ずっと寺沢さんの方見てたじゃんか。気持ち悪い笑みを浮かべたりしながら」
「み、見てないよ!!」
「えぇ〜?」
確かに寺沢さんはすごく優しい。
1人でいたこんな俺にも笑顔で話しかけてくれて、友達になってくれた。
俺とは住む世界が違うとさえ感じてしまうほど明るく、勉強以外は完璧な人だと思う。
そんな寺沢さんは、実は食いしん坊らしい。
食べ歩きで色々食べ物を頬張ってモグモグしてる姿が、とても可愛かった。
その意外な一面をただ見ていただけ……いや結局見てるじゃん!?
俺が寺沢さんを……好き……?
いや俺に限って誰かを好きになることなんて……
ふとこの前の出来事を思い出した。
『君と出会ってから、俺の視界はすごく明るくなった。』
手を握る
『君は光だよ。俺にとっての。』
…
「あ、あ、あああああああ!!!」
「ど、どうした!?」
俺は頭を抱えて発狂した。
驚きつつ若干引きながら心配をしてくれる霧宮。
ようやく忘れることができそうだった黒歴史がまた蘇る。
もはや呪いである。
本当何言ってるのだろう俺は。
まぁ、伝えたいことではあったから、悔いはない。
でも、それを伝えたかった理由ってなんだろうか。
俺が今、寺沢さんに抱いている気持ちはなんなのだろうか。
寺沢さんと一緒に居たい、一緒に帰りたい、そう思う気持ちは、いったいなんなのだろうか。
「…今、お前がどんな心境かはわからないけどさ、片想いの賞味期限は短いんだからな。」
「う、うん。」
「お前が告白する前に寺沢さんに対しての気持ちが薄れてしまったり、寺沢さんに別の彼氏ができてしまう可能性も十分にある。」
「…」
「結局はお前次第だけどさ、その…とりあえずは頑張れよ。」
「…」
霧宮の言葉は、なぜか妙に俺の中で響いた。
俺は中学から誰かと一緒に行動することを避けてきた。
だからこそ、今、俺が抱いている感情がどういう気持ちからなるものなのか、俺自身もわからない。
その気持ちの正体を、俺はこれからコツコツと探すことにする。
そんなことを考えていると、俺は驚きの光景を目にする。
「お姉ちゃん、可愛いね。これから俺とお茶しない?」
「あ、いや…」
少し前を歩く寺沢さんと笹原さんが、チャラそうな男2人組に肩を触られ絡まれていた。
霧宮と俺は2人で話していて少し距離があったため、一緒に行動しているように見えなかったんだと思う。
「お姉ちゃん、そこに美味しいカフェがあるからさ〜いこうぜ〜」
「お、おいやめ…」
「あの、嫌がってるのわからないんですか?」
霧宮が声を出しかけたとき、俺は声を出しかけていた霧宮に被せるように口を開いた。
「あ?なんだおまえ」
「この2人は俺たちと行動してるんですよ。」
「…チッ」
俺は鋭く睨みつけると、男たちは去っていった。
「大丈夫?」
「うん。ありがとう。」
咄嗟に行動してしまった。
ただ、正義感に包まれた俺は、自然と怖くはなかった。
「やるじゃん。これからも頑張れよ。」
ニヤニヤして言う霧宮。
「な、なんだよ。」
俺はそんなこと言いつつも、勇気出して良かったなと実感した。




