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戦争とは何か…

オレンジ色に染まる空間の真ん中に浮かびながら、カールは一人、一服を楽しんでいた。


爆発が収まり、静かになった空間の真ん中で。


…止まらない血を目の当たりにしながら、唯一動く腕だけで、最期の一本を握りしめながら。


「やっぱり…カッコつけ過ぎたな」




黄昏に染まったようなその空間で、カールの脳にこれまでの記憶が行き交う。



戦争、血、銃、弾、煙、敵、友。




友…。




「ジョイス、見てるか?俺はカッコイイだろ?」



煙草を咥え、吸う。


煙を吹く。




「きっと、これで終わりだぜ」





…カールの視界に、白い光が灯された。







「…ル、カール…カール!!」



俺を必死に呼ぶ声がする…。





目を開けると…そこには、あいつらの顔があった。



俺は…まだ生きてるのか。




「カール!!アタシだよ!!!分かる!?」

「おい、しっかりしろ!!」


誰が誰だか、分からねえ…。


視界もぼやけてるし、耳も水が入ったみたいだ。

血の味が止まらねえ。

すっげえ、不愉快だ。




でも。



お前らが目の前にいてくれてるだけで色々違うな。


「…れな…れみ…葵…ラオン…」



皆の声が止んだな…。



「…ドクロ、テリー…粉砕男…」



俺の声だけが、聞こえてくる。

でも分かる。皆がいるのが分かる。



「…シャナイ、光姫、光星王…闇姫、デビルマルマンにガンデル…ダイガル…バッディー…それに白の反逆者達…」


ああ、言い足りねえな。



もっと皆を色んな名前で呼びてえし、色々声のトーンを変えて、名前を言いてえ。



名前を言いてえ…。




「…ありがとよ…」


ジョイス。

お前が教えてくれたこの笑み。


気持ち悪いぐらいに陽気なこの笑み。







俺のニヤケ面も…。







中々イケてるだろ?












「…カール」






荒れ果てた大地の上、戦士が旅立った。


彼の顔は、何とも陽気で、何とも明るい…白い歯を見せた、満面の笑みだった。


























「…続いてニュースです。世界各地の戦争に密かに加担していたという闇商人、ブルム=マガブマル・ロルヴァーム・アザヤーブ・ツカイルが、先日身柄を拘束されました!発見したのは宇宙調査中の宇宙警察。目撃証言によれば、彼女は何者かによって担ぎ出され、テクニカルシティの歩道に寝かされていたとの事…」



戦いから少し経ち、事務所に帰還したワンダーズは、テレビを見ながらのんびりと過ごしていた。

闇の一派、白の刺客はあれからそれぞれの主導者を失い、それを引き金にそれぞれの在り方に不満を持っていた勢力が一気に旗をあげ、残党勢力を制圧した。

両星には平和が戻り、地球にも平穏は訪れた。


ラオンが、両手を頭の後ろに組みながら言う。

「平和になったな」

雑誌に目を通したまま、葵も言う。

「そうね。平和が一番ね」

平和。その言葉を聞いたれなが、心から漏れ出したように一言発する。

「…こんな平和な時間の最中に戦争が起きたんだよね。何でだろう?何で、闇の一派と白の刺客に限らず、皆戦争なんてするんだろう」


特にする事も無く、椅子に座ってた粉砕男が手を上げる。

「生きていく上では欲が沸き立つよな。何かが欲しい、何かをしたい。欲を満たすには邪魔を無くす必要がある。そこから戦争を起こすんだ。生きてくのに必要な欲の為、命を削る戦争を起こす。俺はそう考えてる」

ドクロとテリーは神妙な面持ちだ。膝に手を起き、話を聞いている。

戦争を経験した今は、この話がより深く聞こえる。

今回の場合は、両星の信仰心…昔から当たり前のように信仰してきた、日常と隣合わせの力を、何かしらの出来事で互いに否定され、互いに否定したのだろう。結果、その憎悪や亀裂が広がり、大規模な殺し合いに発展したのである。


「世界は不思議だね…こんな日常を続けてれば、痛みと無縁の暮らしができるのに」

れみの一言で、事務所はすっかり静まり返った。



「…光王国、闇姫達も、今回の件できっと色々思う事があるんだろう。しばらく派手な活動を停止すると言っていた」

テリーがその情報を出した時には、事務所は完全に静まり返っていた。



「…まあ」


れなが口を挟む。



「気にしてても仕方ない。未来がどうなるかなんて、絶対に分からないしね。私達は自分達が正しいと思った戦いをしていくのみ」

右手で握り拳を作り、部屋の隅にある依頼箱に入った手紙を左手で取るれな。皆の表情も、少しばかり穏やかなものになっていた。


「おっと、依頼へ向かう前に」

粉砕男が立ち上がり、テーブルの上から何かを取り出した。


「あいつの所に寄っていくぞ」


それは…一箱の煙草だった。







何が正しくて、何が間違いなのか?

それはまだ分かっていない。

世界が何を求めているのか、それとも世界も何を求めてるのかが分からないのか。

恐らく正解などない。だからこそ人は正解を求め、血を流し合う。

そして、命を散らしていく。



できる事は一つ。

正解を見出す為、できる限り手を取り合う事だ。

そうすれば、もしかすると、世界は変われるのかもしれない。


可能性の話ではあるが、信じてみるのも良いのではないだろうか?



あるはずのない、正解。

争いのない世界へ向かう答えを。



ワンダーワールド 光暗戦争編 完結


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