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鉱山崩壊

カノアンとの戦闘の後、ワンダーズは合流した。アンコウ鉱山はそれほど複雑な地形ではなかった為、落ち着いた状況では割とすぐに合流できた。

れな、れみ、葵、カールは全員分の水晶玉を取り出し、しっかり魔力を貰った事を示した。

ドクロは黒い水晶玉を見て、その美しさにウットリ見惚れてる。テリーは白い水晶玉を見つめ、自分の骨の体とどっちが綺麗な白色なのかを見極めようとしていた。

…反応はそれぞれだ。

シャナイは白い水晶玉を確認し、再び指揮をとり始めた。

「指揮をとる立場でありながらあまり活躍できなくてすまない。その分帰り道は安全に誘導してみせる」

シャナイは歩みだした。


同じ道でも、行きと帰りはかなり違う。カノアンの妨害がなくなったとはいえ、危険な魔力が行き交う場所である事には変わりない。

魔力安定装置はれなが持っているので、瓦礫で分断した後、シャナイ達は天井から落ちる瓦礫や地面からの棘に悩まされていたらしい。


このまま帰り道は何もないとは思えない。超常現象を無しにしても、アンコウモンスも潜んでる。

とにかく、ここが何も起きずに大人しく終わるような場所とは思えない。ここで油断する事は、全方位から銃で狙われてる状況で眠ろうとするようなものだ。

シャナイは特に警戒し、常に戦闘姿勢をとりつつ進んでいく。行きの時に通ったルートも、全て把握している。

「頼もしい隊長さんだぜ」

カールの呟きに、シャナイは少しばかり鼻で笑った。



「待って。あれは?」

ドクロの言葉に、一同の警戒心がより強まる。


彼女が指差す先、前方から、何かがこちらに近づいてくる。


紫色のトカゲのような姿をした怪人だ…その全身には小型の機械が無数に張り付けられており、四肢はコードに覆われてる。

両手の先端は銃のような形をしている。その怪人は、フラフラと不審な挙動で狭い通路を歩いてくる…。


「まずい!」

シャナイが叫ぶ。

正に言葉通り。彼の長年身につけてきた闘争本能が、危機を悟ったのだ。

シャナイは、円を描くように剣を振るう。円状のバリアを展開し、後ろにいる仲間達を守る。

その怪人は、一言呟いた。

「グラミヤ、発砲を開始します」

左手を向け、無数の黒い光弾を放って攻撃してくる!

光弾は壁や天井にぶつかり、アンコウ鉱山を激しく揺るがす。バリアを張ってなければ、かなりのダメージを食らってただろう。

ラオンは葵の横に並び、ナイフを構える。

「いきなり撃ってくるとは…グラミヤって言うのか?なんて失礼な野郎だ!」

れなとれみも拳を握り、ドクロ、テリーは腰を深く落とし、魔術を放つ準備を固める。

そんな中で粉砕男だけは、グラミヤの魔力に違和感を覚えていた。

「あいつ、かなり強く、熱い魔力を持っているな…。だがさっきのあの声、あの挙動。魔力の割に何か機械的じゃないか?」

グラミヤは更に左手から光弾を発射!バリアが攻撃を受け止めてくれるが、アンコウ鉱山への被害は広がるばかりだ。このまま放っておけば、鉱山が壊れかねない!

一同が攻撃のタイミングを見計らうなか、カールが言う。

「あいつは見たところ闇の一派だな」

「え!?何でこんなところに!?」

腰を落としたまま、ドクロが叫ぶ。地球は今バリアに包まれてる。闇の一派の侵入経路は絶ったはずだ。

「考えられる可能性は一つ。あの交渉作戦の時、マガツカイが密かに地球にあいつを送り込んでたんだ。地球を怪しみ、自分達が光星王の交渉の相手をしている間、グラミヤを送り込む事で先導調査をさせていた」

恐らくアンコウ鉱山の守護者であるカノアンが今、ワンダーズ一同が脱出する為に大人しくしている事もあり、アンコウ鉱山全体の魔力が緩やかになっているのだろう。そのタイミングを狙い、こうしてグラミヤがアンコウ鉱山に潜入してきた訳だ。

「つくづく思うぜ。人の星に土足で入るなとな!」

ラオンがナイフに紫電を纏わせ、一気にグラミヤへ接近!凄まじい速度で彼の脇腹を切りつけてみせた!

突然の攻撃に、グラミヤは動きが乱れる。ラオンの必殺技、紫電斬りが見事に炸裂した。

動きを僅かに止めたグラミヤを、ラオンは羽交い締め。

「粉砕男来い!!」

指示を受けた粉砕男は拳を握り、激しい足音を鳴らしながら突撃する。そして、グラミヤの体に一発強力な突きを叩きこんだ!

グラミヤは背筋を伸ばした姿勢をとり、震えた。かなりのダメージだ。

「ダメージを受けました。リミッターを解除します」



…無機質で不気味な声を上げた。リミッター解除、その言葉に、誰もが口を開け、冷や汗をかいた。

グラミヤの肩にはめ込まれた白いパーツが展開し、そこから紫の光のブレードが射出される。

彼の魔力が全身に勢いよく流れ、更に戦闘力が向上していた。

「おい!あいつパワーアップしたぞ」

明らかなパワーアップに、テリーの骨の体にまた冷や汗が伝う。彼は手を頭上に掲げ、白い骨を無数に召喚、グラミヤに発射する!

その手数攻めにも怯まず、グラミヤは一回転、尻尾を叩きつけて撃ち落とし、左手から光弾を放出!その連射性は、先程の倍ほどもある。

バリアはそろそろ崩れそうだ。シャナイも少しばかり息を切らしており、これ以上の防戦はあまり期待できそうにない。

「このままではアンコウ鉱山がもたん。あまり派手に戦えないぞ」


シャナイは剣を向け、グラミヤに突撃!グラミヤの長い首に剣を叩きつける。

グラミヤは押し返そうと力を込めてくる。

今だ、シャナイがこいつの動きを止めてくれてるうちに、ここから脱出するのだ。


…だが、グラミヤの力はシャナイをも上回っていた。

突如、グラミヤは口から紫色の破壊光線を吐き出した!!

「ぐわっ!!」

何の予備動作もなかった。光線はシャナイの目の前を通り過ぎ、天井を突き抜ける!

無数の散弾銃が唸ったような轟音と共に、飛び散る無数の岩石。

その一撃は確実にアンコウ鉱山全域にダメージを与えたようで…。



「何だ…!?」

去った一同を見届けたばかりのカノアンが、振動を察知した。

アンコウ鉱山の危機を感じ取ったのだ。




光線によって生じた明らかに大きな破壊影響に、シャナイは作戦を変更した。

「このままではアンコウ鉱山が崩れる!とにかく外へおびき出すぞ!」

シャナイはグラミヤを一発蹴飛ばし、直ぐ様出口を目指そうとした。他のメンバーも無論同じ考えだ。カールですら、いつものニヤケ面が消え、緊迫しきった顔をしていた。


だがそこへ、一つの声が聞こえてきた。

カノアンだ。

「ダメだ。もう間に合わん。今の光線でアンコウ鉱山の魔力が大幅に乱れた。ここが崩壊するまでもう時間がない!」

その言葉と同時に、天井から砂煙が落ちてきた。


…鉱山全体が揺れ始め、壁までもが崩れ始める。崩壊が近づいてるのは火を見るより明らかだ。

「僕がこのトカゲ野郎を封じる!お前達はあの光の玉を追え!」

直後、グラミヤの体に黒い霧が立ち込め、動きを封じる。一方ワンダーズの元には白い光の玉が出現、玉は一同を誘導するように飛んでいく。

揺れはますます強くなる。遠くの方からは無数の岩が落ちる音が聞こえ、既に崩壊が始まったようだ。

激しい崩壊音の中、れなが目を丸めて叫ぶ。

「でもカノアン、お前は…!」

「いいから早く行け!!僕はここの守護者!ならば運命も共にする覚悟だ!!」

決意に溢れたその言葉を聞いたら、言う通りにするより他なかった。

皆は光の玉を追って走っていく。砂煙が顔に降り掛かっても気にしない。後ろの方のグラミヤは、この状況でも声を出さない。


いよいよ崩壊は本格的になり、大きな岩が目の前から転がってくる。粉砕男が先導し、自慢の怪力で殴り壊しながら突き進んでいく。

時間がない。今真上にある天井が落ちてくる前に、ここから出なくてはならない。

「もうすぐだ!!」

外の光が見えてくる!


「まずいい!!」

ラオンが叫ぶ。崩壊はすぐ後ろまで迫っていた。

岩が次々に落ち、道が塞がれていく。その轟音はまるで獣の咆哮のようだ。怒りに満ちた、悪魔のような獣の咆哮…!


「間に合えー!!」

最後尾のテリーとドクロの足に瓦礫が掠る。

同時に全員が飛び出し、外の光へと身を投じた!



地面に激突する。

そこは、外の地面だった。

「離れるぞ!!」

シャナイの指示と共に足早に離れ、空中へ飛行開始。




風を払い除け、上空からアンコウ鉱山を見下ろす。

空にいても伝わる、おぞましい地鳴り…アンコウ鉱山の最期を意味していた。

鉱山は崩れ始めた。力強く聳えていた山肌が剥がれ落ち、いくつもの岩石が分散、重力に引っ張られ、大地に叩きつけられる。

時々、白と黒の霧が発生している。

あれは魔力だ。アンコウ鉱山を守ってきた魔力…カノアンが支配下に置いていた魔力達。

「…」

長年続いた鉱山の最期はあまりに呆気ないもので、一分もしないうちに見る影もなくなった。

何も事情を知らない周囲の人々が、崩れる鉱山の写真や動画を撮っているのが見える。

いくつもの命が犠牲になったとも知らず…。

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