作戦に向けて
それから、れなたちはひたすら修行に励み、時間を過ごした。
作戦がどうなるか、もし失敗したら…?
そんなネガティブな感情も一時は芽生えたが、そんな事を気にしていては物事に集中できない。
「いよいよ明日か」
その日の荒野での組手も無事終了し、夜のテクニカルシティで帰路を辿る一同。
ラオンは右手で拳を握り、左手にナイフを持ち、確かな手応えを感じていた。
光王国の作戦はいよいよ明日に迫る。準備は十分だ。
「明日の作戦、上手くいくといいがな」
粉砕男は腕を組み、深刻そうな顔だ。そんな彼の肩に、れみが飛び乗った。
「心配性だなあ。とにかく私達はアンコウ鉱山の魔力を消すためにカモフラージュする事。その後はあの光姫が何とかしてくれるよ。あのしっかり者の光姫だよ?何とかなるよ」
頷く粉砕男。
そうだ。自分達はただ、できる事をやるだけだ。
「じゃあ、このまま解散だな。明日はよろしく」
テリーの言葉と共に、ワンダーズは解散する事に。
それぞれの家へ歩いていくメンバー達。
…このうち、れなとれみの帰路で、ある事が起きた。
「じゃあ私先に帰ってるよお姉ちゃん!見たい番組があるから!」
手を振って走り去るれみ。れなは両手を頭の後ろで組みながら呑気な顔をした。
「あーそうか。今日は変態トーナメントの放送日か。私はそんなに見たい番組はないな…ゆっくり帰るか」
明日の作戦の予行準備とばかりに、適当に拳を突き出しながら歩きだすれな。
その時の事だ。
「…っ!」
何かを感じ、振り返る。
「闇姫っ!!」
れなの後ろに、闇姫が立っていた。
どうやって接近したのだろうか…闇姫がその気なら、このまま気づかず殺されていたところだ。
この夜闇と同じで、掴みどこりのない存在だった。
「テメエに聞きたい事がある」
「あ?質問?」
れなは腕を組んで、いかにも喧嘩腰だ。
だが実際は、今ここで戦うのは避けようとしていた。
作戦は明日なのだ。少しの消耗も抑えなくてはならない。
今から問われるであろう事に答えて、それで終了。それが一番だ。
…幸い、闇姫も同じだった。
「光王国に協力するそうだな。問いたい。テメエは光の味方か、闇の味方か」
れなは胸を張って、迷わず答えた。
「光も闇もない!白の刺客、闇の一派、両方止める!ただそれだけ!」
闇姫は、いかにも呆れた表情だった。だが、実際は一方的に呆れている訳ではなかった。
「テメエはとことん戦争に向いてねえな」
「昔の私だったら、どちらかについていたかもね。でも今は違う。戦争は良くない、止める。それ以上は考えられないし、考える気もないね!」
どんな言葉でも、れなは自信を持っていた。
そして、闇姫は言葉を口にした。
「私も同じだ」
れなは、一瞬戸惑った。
闇姫なら、闇の勢力である闇の一派を支持すると思ったのだ。
だが…よくよく考えれば、彼女も覇業の為に一軍を率いる身。そう簡単に他の軍に肩を貸すつもりはないのだ。
闇姫は、何も言わずに空を飛んで去っていった。夜空に消えていくその姿を、れなは静かに見つめていた。
「…戦争なんて、必ず止めてみせる。私の大事な地球をこれ以上巻き込ませてたまるか!!」
れなの叫びが僅かに轟く中、闇姫は、夜空を舞いながらただ一言呟いた。
「嫌な予感がするな」




