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闇姫の修行成果

闇の一派との戦いによってあちこちが崩落した城。

闇姫軍兵士達が城の修理に勤しむ中、闇姫は四天王と今後の方針を語り合っていた。

…がその前に、ダイガルはどうしても気になる事があるようだ。

「闇姫様、闇王様との修行で何を身に着けたのです?」


それを聞いた瞬間、闇姫の無表情が更に凝り固まる。

何か悪い事でも言ったかと、ダイガルは後退る。

「中庭に来い」

闇姫は、指で一同を誘う動作をとり、中庭へと向かう。

何人かの兵士達も興味を持ち、ついていった。



闇の植物が並ぶ中庭にて。


闇姫はその中心に立ち、四天王や兵士達を横に並べ、構えをとっていた。

右手を前に突き出し、左足を曲げて体重を支える体勢をとる。

これから何が起きるのかと、兵士達は互いに話し合っていた。中には律儀に正座してその光景を見つめる者も。


「では始める」


闇姫は息を吐く。




…直後、不思議な事が起きた。

闇姫の漆黒の髪が、一瞬純白に切り替わる。

本当に一瞬だ。髪はすぐに漆黒に戻り、いつもの姿に戻る。

「あれ、今闇姫様、一瞬白形態になった気…がっ!!??」

デビルマルマンの目が飛び出しそうになる。


黒髪に戻った直後、闇姫は天空に向かって拳を突き出す!!


「がはっ!!」

突如、デビルマルマンが苦しげな声を上げた!!

直後にバッディー、ガンデルも同じような声をあげて、息を吐く。ダイガルだけは、両腕を構えて衝撃に耐えている。



ダイガル除いた四天王が倒れる中、闇姫は拳をゆっくり降ろす。

「たった今、四人それぞれを千発殴った」

「え!?い、一秒くらいしかたってないですよ!?」

闇姫は手をブラブラと振るい、居心地が悪そうな姿を見せる。





「うわ、これは…」

兵士達が、尻を天に突き出したような無様なポーズで横に並べられていた。闇姫は彼らの前に立ち、両手首を振っていた。



一連の構成を説明するとこうだ。

闇姫は元から光の魔力を扱う素質も持っているが、その光の魔力を周辺から集め、自身に集中する。白髪になったのはこの為だ。

集めた光の魔力を闇に変換する事で黒髪に戻る。光を闇で塗りつぶすイメージだ。

こうする事で、魔力の上から魔力を上乗せして、通常は不可能な肉体の強化を一時的に成す。時間は極めて短いが、その効果は白髪形態の倍以上はある。

これは闇王の修行で闇姫が殻を破り、光をも闇で染める力を得た結果らしい。

ガンデルが興奮気味に汗をかく。

「…つまり」

「私はあくまで闇を貫く」

歓声をあげる兵士達。それだけではない。


「俺達も闇姫様の足手まといにならないように強くなるぞ!!」

一人の兵士の一声と同時に、城へ駆け込んでいく兵士達。主の成果が、部下のモチベーションに繋がった。

ふん、と軽く息を吹き、ポケットに手を突っ込む闇姫。


「闇姫様。お帰りなさいませ」

改めて、四天王は闇姫に一礼した。



…ここで、ガンデルがある情報を伝える。

「…ところで闇姫様。光王国が何やら行動を起こしてるようで…」




その頃、白の刺客の拠点星では、カールが兵士達の訓練に勤しんでいた。

「そうだ!そこを狙え!」

宮殿の一室で、次々に出現する的に発砲する兵士達。彼等の後ろを歩きながら、カールは一人一人の狙撃技術を要観察している。

こうやって訓練を施す事で時間を稼ぐ。全ては光王国の作戦が順調にいくように。

この星は地球とほぼ同じ流れで時間が流れてる。作戦開始は三日後に迫っていた。

カールはその三日間、時間を稼げれば影の貢献に成功するという訳だ。

そして、そこからは光王国の交渉に任せるしかない。彼等の交渉が成功すれば、この戦争は終わるだろう。

戦争が終わった暁には、カールはブルムを説得する気でいた。

これ以上戦争に加担し、余計な事をするのはやめようと。これからは社会の表側で、堂々と生きていこうと。


…銃声が鳴り続ける部屋の中で、カールはこれからの方針を整える。


その時、彼の肩に何かが乗る。

振り返ると、白い棘付きアーマーを着た騎士が立っていた。白の刺客の精鋭戦士の一人、コウハだ。

「あなたも闇が憎いのですか?」

突然の質問に、カールはニヤケ面のまま首を傾げた。

「何だいきなり?俺がここにいる以上、憎いに決まってんだろ」

コウハはカールの横に立ち、兵士達の背中を見つめた。

その顔は笑顔だが、目に生気が込もってない。白の刺客のこの笑み…カールは正直見飽きていた。

「私は憎い。とてつもなく憎いですよ。美しい光の上にズカズカと乗り込み、塗りつぶす闇…それを信仰する連中、全てが」

一人の兵士が的の中央を撃ち抜く。その時、兵士は正真正銘の笑顔と共に歓声を上げた。果たしてその兵士も、コウハと同じように闇を極限まで憎んでるのか、それとも単に銃を使うのが楽しいのか。

「そんなに憎いのか?闇が。光と闇は共存するものであるべきじゃねえか」

…カールの台詞が終わると同時に、コウハは勢いよく床を踏みつけた。

鎧が床に叩きつけられる音が、部屋の空気を刺激する。

兵士達は驚き、銃声も止む。


「あなたは腐敗臭に満ちたゴミ達と、同じ部屋で一生生きていけますか?それと同じですよ」

カールだけは、笑みを崩さず、言った。

「これは失敬」

…少しの沈黙の後、部屋は再び元の雰囲気に戻りだした。


カールは心で思った。


やはり白の刺客も闇の一派も、信仰に狂ってる。

他の概念を一切通さぬ、城壁よりも高く、盾よりも硬い固定理念。

それが彼等の原動力だ。地球で言えば、人間が人間ならざる存在に恐怖し、そしてその存在が自分達を脅かせばそれを排除しようとするのと同じ。

これは彼等一人一人、個人的な思考ではない。白の刺客全てが、闇を親の仇同然に思ってるのだ。

あの首領、コウノシンも同じだろう…。


信仰…カールは頭痛がした。


「…ところで、つかぬ事をお伺いしますが」

コウハはカールの横顔を見た。

「あなた、なぜ黄昏の狙撃手と呼ばれてるんです?」



「お前、それ今関係ないだろ」

カールは何も答えなかった。





そして場面は変わり、地球の光王国。

深夜一時を過ぎた頃だ。

昼間は明るく気高い輝きを放つ建物達だが、夜では静かな輝きを放っていた。



「それにしても光と闇の戦争が宇宙でも行われていたとは」

多くの兵士達が寝静まるなか、光星王は自室に光姫を呼び、彼女と話し合っていた。

椅子に深く腰掛ける光星王は、静かに腕を組んでいた。

光姫は彼の前に紅茶を出し、気品を保ちつつも、その顔は深刻そうだ。

「昔から光と闇はいがみ合っていました。それがまさか宇宙でも同じ事が行われているとは…。なぜこの二つの力は互いに溶け込めないのでしょうか」

それは、光王国での昔からの課題だった。


敵対国は闇姫が支配する闇の国だが、その他にも様々な闇の勢力と戦ってきた。

時には闇から光に攻撃を仕掛け、そして時には光から闇へ攻撃を仕掛け…何万何億もの年月が、このサイクルを繰り返してきた。

…いや、光と闇に限った話ではない。異なる思想の者同士が分かち合え無い、尊重しあえない世界は実に生きづらいものだった。


…確実に言えるのは、これを甘い思考だとは思わない事だ。


次の作戦、必ず成功させなくてはならない。


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