表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/56

マンピー星の激闘

ワンダーズの事務所に、また一つ依頼がやって来る。

今度の依頼は驚くべき事に、宇宙からの依頼だ。

依頼主は地球の近くの星に住む宇宙人、マンピー星人からだった。

マンピー星は地球との交流が比較的盛んな星であり、恐らくここを訪れた地球人がワンダーズの活躍を伝えたのだろう。

依頼内容は、最近マンピー星上空を飛んでいく謎の流星の正体を突き止めてほしいというものだった。

メンバーはドクロ、粉砕男の二人。

粉砕男に思いを馳せるドクロは早速浮かれていた。事務所の更衣室で色々な服を取り出し、どの服で同行するか迷いに迷ってる。まるで舞踏会にでも行くかのようなノリだ。

「ここは王道を行くドレスかしら?でも大胆なのも良いわね、ちょっと脱線してみるのも…」

次々に服を取り出しては楽しく独り言を呟くドクロ。


…が、更衣室のカーテンの下からラオンが顔を出し、冷たく告げる。

「遊びに行くんじゃねえんだろ?」

…ドクロはいつもの普段着を身に纏ったのだった。


「今回はよろしくな、ドクロちゃん」

「う、うん!!」

二人は合流。ラオンの見送りを受けながら飛行を開始し、空へ向かって飛んでいく。

あっという間に雲を突き抜け、全身に冷気を感じながらもすぐに宇宙へ飛び出した。

依頼の手紙に同封されていたマンピー星と地球を繋ぐルートを辿っていく。

地球時間で言えば約十分程で、マンピー星が見えてきた。

緑色に発光するマンピー星。周囲には隕石の欠片が無数に浮いている。

「流星…という事は正体は隕石かしら?」

「いや、もし隕石ならマンピー星の宇宙局が既に解明して解決するだろう。しかし彼等は異星である地球にまで協力を求めてきた。ただの隕石が飛んでる訳じゃなさそうだ」

粉砕男の洞察力は相変わらず流石だ。そんな所にも、ドクロは惚れ惚れしていた。

そうこうしてる間にマンピー星はすぐそこだ。二人は大気圏へ突入、緑一色の大地に建ち並ぶ灰色の建物を目の当たりにする。

そしてそこら中を歩く人々は、地球人と似ているが全身が緑色、やたら丸っこい顎を持つ、マンピー星人達だ。

一人のマンピー星人がこちらに気づき、駆け寄ってくる。明らかに自分達とは異なる姿の二人が、依頼を送ったワンダーズの者達だと気づいたのだ。

「お二人共ありがとうございます!!来てくれたんですね!」

粉砕男が大きな手を振りながら、彼に事情を改めて聞き出した。


依頼の通り、謎の流星がこの辺りを飛んでいるのだという。その流星とマンピー星の距離はかなり近く、墜落してきてもおかしくないという見解まで成されている。

「近頃、あの流星に不安を抱いて眠れない者も多く現れましてね…。体の苦味成分が消えてきて、ヘタも萎れるばかりです」

「よく分からないけど、とにかく困ってるって訳ね」

ドクロはマンピー星人の頭を軽く撫でた。

腕を組み、うーんと考え込む二人。とにかく、できる限り情報が必要だ。

ドクロはマンピー星人に手始めとばかりに聞いてみた。

「ちなみに、どんな見た目の流星なの?」

マンピー星人もまた、腕を組んで少し考える。

そして、何やら空の方を指差しながら答えた。


「そうですね。あんな感じのやつです」


え、と空を見上げる。



…緑色に染まった空に、白い大きな光弾が飛んでいた。

それはまるで星のように輝きながら飛んでいる。熱に満ちたその光弾は、星の真横を通過しているようだった。


「…いや、待って。あれです!!正にあの光弾が我々を悩ませている流星です!!」

パニックに陥るマンピー星人。二人は冷静にマンピー星人に駆け寄り、体を支えて落ち着かせようとする。

粉砕男は光弾を見上げつつ言う。

「落ち着くんだ。恐らくこのまま通り過ぎてくれる。墜落はしな…」

…その時、粉砕男の視界の隅から何かが入り込んできた。


それは、白い光弾…。

二つ目の光弾が飛んできたのだ!

「二つ目だと…!?」

いいやそれだけではない。この二つの光弾と比べるとかなり遠くの空に輝いてるが、よく見ると三つ目もある。それの後を追うように三つ目が…。

四つの光弾が二つずつ整列し、飛んでいた。そしてその二つの列の中心辺りに五つ目。その後ろに六つ目、七つ目…。

明らかに流星群ではない。あまりにも光弾の並びが規則正しいのだ。

そうこうしてる間にも光弾は追加されていく。ここまでの数は初めてのようで、マンピー星人は母星語を叫びながら大パニック。

「ニガイゼ!!ニガイゼー!!ピーマンクエヨー!!」

ドクロは睨むように光弾を見上げる。

(これがただの流星だったら粉砕男とロマンチックデートできるのに…!腹立つ…!)

ドクロの怒りが上昇する中、粉砕男はまた何かを見つけた。


この謎の流星群の進行方向に、さらにもう一つ、逆走してくる光弾を見つけたのだ。

その光弾は禍々しい赤い光を放っており、二人が知る闇の魔力に近い。

互いに向かい合う光弾は衝突し合う。

緑の空は一瞬にして黒と白の光に呑まれ、二つの光弾を形成してた魔力が分散し、こちらに飛んでくる!

「や、ば、い!!」

二人が同時に声を揃える。

普通の状況ならドクロは粉砕男と声が揃った事に運命を感じるだろうが、流石にそれどころではない。

赤黒い光弾と白い光弾。どちらも関係ない。

魔力を集めた手で光弾を殴りつけ、次々に破壊していく。破壊された光弾は光の粒子と化し、空気中に消えていく。

一個や二個破壊するだけでは当然終わらない。

一つの光弾が分散するだけでも、飛んでくる小型光弾の数はおよそ三十個。これを二人では身が持たない。

ついに一発、地面に直撃する。光弾は小さな爆発を起こし、ドクロと粉砕男はその音からますます焦りだす。

マンピー星人達はいち早く建物に避難、一部のマンピー星人は銃を持ち出して光弾を狙い撃ちする。

…銃から放たれるのは緑の液体。ただ苦いだけの液体だった。

「ここは我々の星!我々が動かずしてどうする!皆の者かかれー!」

全力の雄叫びを上げながら宙に苦いだけの液体を撃ちまくるマンピー星人達。

援護の意はありがたいが…。粉砕男は手を振り回して彼等に叫んだ。

「頼む!大人しくしててくれー!!」



およそ十分程壊し続け、ようやく終わりが見えてきた。

光弾の数が減っていく。この星にとっては落ち着いた色の緑の空が戻ってくる。

最後の一発をドクロが蹴りで破壊すると、突如静寂が戻ってきた。

屋内で震えていたマンピー星人達も窓から顔を出し、空を見る。


二人は流石に疲れきり、膝をつく。ただの調査依頼かと思ってたが、まさかこんな体力勝負だったとは。

マンピー星人たちは慌てて二人のもとへ駆けつけ、マンピー星特製のピーマンを口に突っ込む。

苦さのあまり飛び起きるドクロ。

「何すんじゃー!」



光弾は消滅してしまったので、正確な正体はまだ分からなかった。

だが…あれはハッキリとした光の魔力と闇の魔力。最近地球で起きている異変と照らし合わせても、おおよそ予想がつく。

粉砕男は腕を組んで呆れたようなため息をつく。

「…恐らくは闇の一派と白の刺客の戦争のど真ん中に、この星があるんだな」

マンピー星人達は互いの顔を見ながらそれぞれ話し出す。

皆声が震えてる。まだ完全に状況を理解している訳ではなさそうだが、あの光弾が飛び交う様から、自分達が何か物騒な事に巻き込まれている事は確実に理解していた。

無関係な彼等の怯える姿に、ドクロは胸を痛めた。

「皆安心して。私達、あの光弾を撃ったやつらの調査を進めてるの。この落とし前はつけさせるわ!」

彼女の声に励まされるマンピー星人達。礼儀正しい種族なのか、全員で頭を下げてくる。思わずドクロと粉砕男もサッ、と頭を下ろした。



その後、マンピー星人達は星を守ってくれた二人へのお礼として、星一番のレストランに招待してくれた。

異星ではあるが、二人きりでレストランなど、恋人同士のシチュエーションそのものだ。ドクロは先程の真剣さはどこへやら、期待に溢れた心持ちで向かった。




…しかし、現実は少々違った。




「何これえ…」



レストランにて、テーブルに並べられたのは畑のように並べられたピーマン、ピーマン、ピーマン…調理も何もしていない、そのままの生ピーマンが更に乗せられていた。

ドクロと粉砕男は向かい合いながら、ピーマンの山をただ見つめるのだった…。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ